輸出代金のペソへの交換に適用するブレンドドルを廃止
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2025年04月22日
アルゼンチンの政府と中央銀行は4月14日、必要緊急大統領令(DNU)269/2025号、中銀通達A8227
を公布し、これまで輸出代金を現地通貨ペソに交換する際に利用可能だった為替レート「ブレンドドル」を廃止した。今後は、輸出代金のペソへの交換は公式為替レートのみで行われる。
ブレンドドルとは、公式為替レート8割、有価証券の売買を介して外貨を売買する取り引き(CCL取引)に介在する交換比率(CCLレート)2割の割合で算出される為替レートだ。当該レートが生まれた背景には、フェルナンデス前政権下で2022年9月5日に公布した大豆の輸出者を対象とした「輸出拡大プログラム」がある。同プログラムが発表された時点(2022年9月5日)の公式為替レートは1ドル140ペソだったが、市中で取り引きされる非公式為替レート(ブルーレート)は1ドル270ペソと、乖離幅は93%に達していた。乖離幅の大きさは公式為替レートの大幅な切り下げの可能性を輸出者に想起させ、その結果、輸出代金の全額を公式為替レートでペソに両替する義務を課されている輸出者が輸出を先送りする動きが見られた。当初の制度では、輸出為替レートに、公式為替レートよりも有利な為替レート(具体的には1ドル200ペソ)を適用した。その後、対象品目を拡大したほか、適用為替レートも公式為替レートとCCLレートから算出する方法に変更され、現在のミレイ政権発足直後に公布されたDNU28/2023号により現在の交換比率に至っている。
なお、輸出代金の全額をペソに交換する義務は依然として継続している。ただ、政府はブレンドドルの廃止を経済正常化への一歩と位置付けている。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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