シンガポール、2027年央から調味料などに栄養分表示義務
(シンガポール)
シンガポール発
2025年04月09日
シンガポールのオン・イエクン保健相は4月6日、調味料、塩、インスタント麺、食用油について2027年央から、ナトリウム、糖分と飽和脂肪酸の含有量を示した栄養分表示(Nutri-Grade)を義務付けると発表した。砂糖と同様の栄養分表示の義務を調味料などに拡大することで、糖尿病や高血圧などの慢性疾患の予防を強化するのが狙い。
保健省管轄下の健康促進庁(HPB)によると、2027年央から栄養分表示が義務付けられるのは、5分野23種類の加工食品(注1)で、(1)包装済み食塩(塩と代替塩)、(2)ソース(しょうゆ、トマトソース、マスタードなど)、(3)調味料(固形・液体スープの素、混合調味料など)、(4)インスタント麺(乾麺、スープ)(5)食用油が該当する。HPBは同23種類の加工食品それぞれに、ナトリウム、糖分、飽和脂肪酸の含有量に応じて、含有量の最も少ない「A」から、含有量の最も多い「D」まで4段階のグレードを設定した。例えば、食用油については、不飽和脂肪酸の含有量に応じてA~Dを設定。一方、固形スープの素については、ナトリウム、糖分、不飽和脂肪酸のそれぞれの含有量に応じてA~Dを設定している。
同国では現在、小売店や自動販売機、飲食店などで販売される甘味飲料について、糖分と飽和脂肪酸の含有量を示した栄養分表示を義務付けている。2027年央から新たに義務付けるナトリウム、糖分、飽和脂肪酸についても甘未飲料水と同様に、CとDについて表示が義務付けられ、AとBについては表示が任意となる。また、D表示については広告が禁止となる(注2)。
保健省は2024年8月に、ソースや調味料などに含むナトリウムと飽和脂肪酸の含有量について栄養分表示(Nutri-Grade)を義務化する方針を明らかにしていた(2024年8月26日記事参照)。オン保健相は発表の中で、栄養分表示義務化によって塩分を減らすことにより、「しょうゆの味よりも、素材の味がわかるようになる」と指摘した。
(注1)5分野23種類の加工食品の定義と、それぞれの食品のナトリウム、糖分、不飽和脂肪酸の含有量のA~Dの設定の詳細については、HPBの資料を参照。
(注2)栄養分表示の詳細についてはHPBのサイトを参照。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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