中国、EUやASEAN諸国と協調し米国の相互関税に対抗していく姿勢強調

(中国、米国、ASEAN、EU)

上海発

2025年04月11日

中国政府は4月8日、李強首相が同日に欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と電話会談を行ったと発表した。この会談で李強首相は、米国が発表した相互関税の導入は典型的な単独主義、保護主義と批判し、中国が講じた措置は自国の主権、安全、発展の利益を守り、国際貿易ルールと国際的な公平性を担保するものだと主張した。また、中国とEUは、協調して自由で開かれた貿易投資を維持し、サプライチェーンの安定を維持していくべきとした。中国政府の発表によると、フォン・デア・ライエン委員長は、現在の状況下ではEUと中国が継続的かつ安定的な関係を維持することが非常に重要だと述べた。米国による相互関税の導入は国際貿易に深刻な打撃をもたらすもので、EUと中国は共同でWTOを中核とする公平で自由な多国間貿易体制を維持し、世界の経済貿易システムの健全かつ安定した発展を維持していくべきとした。

商務部は4月10日、王文涛商務部長が4月8日にマレシュ・シェフチョビチ欧州委員(通商・経済安全保障担当)と、翌9日にはASEAN議長国マレーシアのテンフ・ザフルル・アジズ投資貿易産業相とそれぞれビデオ会議を行ったと発表した。

この発表によると、シェフチョビチ欧州委員との会談では、中国とEUの経済貿易協力の強化と米国による相互関税への対応を話し合ったとしている。双方は企業に裨益(ひえき)するビジネス環境の創出や、電気自動車(EV)価格に関する交渉開始、自動車産業での相互投資協力を巡って、議論を開始することに合意した。また、貿易摩擦に適切に対応していくべく、中国・EU貿易救済対話メカニズムの再開にも合意したとしている。

マレーシアのザフルル投資貿易産業相との会談では、中国はASEANを含む貿易パートナーと協調し、相互尊重の下で平等な対話によって懸念を解決し、多国間貿易体制を維持することを伝えた。ザフルル投資貿易産業相は、マレーシアは中国の立場を十分に尊重し、多国間主義と世界貿易の発展を支持し、米国の一連の相互関税措置について、ASEAN諸国と協議を行い、ともに対応していくと表明した。

(神野可奈子)

(中国、米国、ASEAN、EU)

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