米国相互関税のインド・グジャラート州への影響、繊維・化学品などで打撃
(インド、米国)
アーメダバード発
2025年04月08日
米国が4月2日に発表した相互関税(対インド26%)は、インド西部のグジャラート(GJ)州の産業にも大きな影響を与えることが懸念されている。現地メディアの報道によると、特に繊維や化学品、ダイヤモンド加工が打撃を受けそうだ。
繊維は、綿の既製衣料品や織物などの米国向け輸出が多い。インド商工会議所連合会(ASSOCHAM)グジャラート州評議会のチンタン・タケール会長は「トルコやブラジルがインドより低い関税率で恩恵を受け、調達先のシフトが起きてしまう」と指摘している(「タイムズ・オブ・インディア」紙4月4日)。
化学品では、特に染料や中間体、特殊化学品への影響が懸念される。基礎化学品・化粧品・染料輸出協議会(CHEMEXCIL)のアンキット・パテル氏は「通貨ルピー安が多少の緩衝材になるが、輸出業者はコスト増加に直面し、競争が難しくなる」と述べている(同上)。
宝石・ジュエリー産業への影響も深刻だ。インドはダイヤモンド原石を輸入、カット・研磨し、輸出するビジネスが強みで、世界の研磨ダイヤモンド市場で9割強のシェア(数量ベース)を握る。うち8割がスーラトを中心にGJ州で研磨され、米国などに輸出されている。宝石・宝飾品輸出促進協議会(GJEPC)は「米国が相互関税によって貿易と関税の不均衡に対処するという意図は理解するが、両国間の長年の貿易パートナーシップの精神を維持することを求める」と声明を出している。
他方、長期的にはプラスの影響を予想する声もある。ASSOCHAMグジャラート州評議会再生可能エネルギー委員会のクンジ・シャー氏は「米国が中国に対して34%の関税を上乗せすることで、インドのソーラーパネルメーカーは有利になる」と述べている。一部の化学品についても、中国よりも低い関税が有利に働く可能性があるようだ。グジャラート州は2024年4月~2025年2月のインドからの世界向け化学・関連製品輸出額の6割超を占めている。なお、米国向け主要輸出品目の医薬品は今回の関税措置の対象外となっている。
(吉田雄)
(インド、米国)
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