米アリゾナ州のフェニックス都市圏経済協議会、半導体産業の展望に関する報告書発表
(米国)
ロサンゼルス発
2025年04月28日
米国アリゾナ州首都圏の官民組織であるフェニックス都市圏経済協議会(GPEC)は4月22日、同州のグレーター・フェニックス(注1)地域で拡大する半導体産業への投資や今後の展望に関するレポート「半導体の未来」を発表した。設計、製造、テスト、パッケージング、出荷の全工程を一貫して行う効率性により、グレーター・フェニックスは過去5年で米国の都市圏で最大の1,000億ドル以上(注2)の投資を集めたと指摘した。
同地域における主要企業別の雇用者数は、インテルが1万2,000人以上と最大で、次いで台湾積体電路製造(TSMC)の3,000人以上、NXPセミコンダクターズやマイクロチップ・テクノロジーが1,000人以上となっている。全米の半導体関連雇用者数が過去5年で7.3%増だったのに対して、同地域では13.8%増え、2024年の雇用者数は計3万3,598人を記録した。域内総生産(GRP)も過去5年で29.7%増と全米の24.9%増を上回った。
2021年以降、大型半導体製造工場の投資に続いて同地域に進出したサプライヤー、サービス・装置プロバイダー、関連営業拠点は、GPECの支援した企業だけで約40社に上った。これら企業は約3,900人の雇用を創出し、30億ドル以上の投資を行う見込みとされている。
同地域の半導体産業にとっての今後の機会としては、人工知能(AI)関連需要の拡大を挙げた。また、医療機器、通信、自動運転車・電気自動車(EV)、AIの分野におけるチップの小型化ニーズにより、先端パッケージング技術の市場が拡大するとして、ウエハー・スケール・パッケージングや3Dスタッキングといった技術の開発に加えて、次世代半導体向けのシリコンフォトニクス技術について報告した。また、半導体産業のニアショアリングの恩恵を受けるメキシコと今後も連携することで、アリゾナ州の半導体産業のサプライチェーンを強靭(きょうじん)化できると指摘した。メキシコのアエロメヒコ航空は2025年3月30日からフェニックス・スカイハーバー国際空港とメキシコシティ国際空港間の直行便の運航を開始しており、両地域間の半導体関連ビジネスのつながり強化が期待される。
(注1)州都フェニックス市を含む24の自治体から成る広域都市圏。
(注2)データは米国半導体工業会(SIA)に基づく。
(サチエ・ヴァメーレン)
(米国)
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