トランプ米大統領発表の相互関税、カンボジアはASEANで最高税率
(カンボジア、米国)
プノンペン発
2025年04月08日
米国のドナルド・トランプ大統領は4月2日、カンボジアに49%の相互関税を課すと発表した。今回発表の相互関税対象国のうち、ASEANで最も高い税率となった。米国はカンボジアにとって最大の輸出先国であり、経済全体への影響が懸念される。
カンボジア関税消費税総局(GDCE)によると、2024年のカンボジアの対米貿易は輸出約99億2,000万ドル、輸入約2億6,000万ドルで、米国側から見ると96億5,000万ドルの貿易赤字になっている。米国全体の貿易赤字に占める割合は1%にも満たないが、輸出額と輸入額に極端な開きがあるため、一部報道で指摘されている相互関税の算出方法(注)によって高関税率が課されたと見られる。
2024年のカンボジアから米国への輸出品目は、輸出額が大きい順に衣類(ニット)(HS61)、かばんなどの皮革製品(HS42)、家具類(HS94)だ(添付資料表参照)。縫製品などの業界団体であるカンボジア縫製・製靴・旅行用鞄協会(TAFTAC)のアルバート・タン副会長は「米国が縫製品を調達する先は(相互関税率がカンボジアより低い)アジアの他国などに分散するだろう」とコメントした(ジェトロのヒアリング、4月3日)。
カンボジアのフン・マネット首相は4月3日、経済財政相に対して、関係省庁や民間団体などと協議した上で緊急対策を取りまとめるよう指示した。商業省の報道官は同日、輸出産業に対する対策と労働者の雇用維持に向けた検討を行っており、国民には冷静になるように呼びかけた。
(注)米国の相手国との貿易赤字額を、相手国からの輸入額で割り、その数字をさらに2で割り算出。
(若林康平)
(カンボジア、米国)
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