第1四半期CPI上昇率は前年同期比2.5%、中銀の目標圏内を3四半期連続で維持

(ニュージーランド)

シドニー発

2025年04月25日

ニュージーランド統計局は4月17日、2025年第1四半期(1~3月)の消費者物価指数(CPI)上昇率は前期比0.9%と発表した。前期(2025年2月17日記事参照)から0.4ポイント上昇した。前年同期比では2.5%で、前期から0.3ポイント上昇したものの、ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)の目標圏内(1~3%)に3四半期連続で収まった。

CPI上昇に寄与した項目として、最も寄与度が大きかったガソリン(前期比4.6%増)のほか、大学や職業訓練校の学費(同22.6%増)、牛乳・チーズ・卵(同5.6%増)などが挙げられる。大学や職業訓練校の学費については、政府による最初の1年の学費を補助する教育補助金制度(注1)が終了したことで、学費が増加した。一方、国際航空輸送(前期比7.7%減)、ゲーム・玩具・趣味(同7.1%減)は減少した。前年同期比でみると、家賃(前年同期比3.7%増)、地方税などの支払い(同12.2%増)の上昇が大きく影響した。統計局は「家賃の上昇が4%未満となったのは2021年以来初となる。一方、CPIでウエートが高い項目(注2)のため、依然として全体に大きな影響を与えた」と述べた。

ニコラ・ウィリス財務相は、CPIはわずかに上昇したが、引き続き抑制傾向とし、「ニュージーランド準備銀行の目標圏内に3四半期連続で収まり、高インフレの時代は終わった」と述べた。今後の政策金利については、インフレが抑制されていることを受けて、ニュージーランド準備銀行にとって金利を引き下げる余地が生まれ、今後数カ月で金利のさらなる引き下げが期待できると予想した。

なお、ニュージーランド準備銀行は4月9日、政策金利(オフィシャル・キャッシュレート:OCR)を0.25ポイント引き下げ、3.50%にすると決定した。2024年8月の金融政策会合(2024年10月3日記事参照)以降、5回連続で引き下げている。

(注1)「Fees Free」と呼ばれる教育補助金のことで、大学や職業訓練校に通う学生に対して、最初の1年の学費を無料とするもので、補助は2024年末に終了した。2025年からは全課程を修了した学生に対して、最終学年の学費が無料になる制度へと置き換わった。

(注2)家賃を含めた「住宅・水道光熱費」グループのCPIウエートは全体の29.4%(2024年第4四半期時点)。

(山崎美樹)

(ニュージーランド)

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