米主要港、2月の小売業者向け輸入コンテナ量は予想下回る伸び、トランプ関税で5月以降輸入貨物量は急減の見通し

(米国)

ニューヨーク発

2025年04月14日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社ハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(4月9日)によると、2月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は、3月時点の予想を下回り、前月比7.5%減、前年同月比5.2%増の206万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった(注2)。

ドナルド・トランプ米大統領がベースライン関税と国・地域別の追加関税を課す相互関税を発動する大統領令を発令した(2025年4月3日記事参照)後、中国を除く国・地域に対する相互関税の適用を90日間停止するとの大統領令を発令したが、一律10%のベースライン関税は引き続き適用されるため(2025年4月11日記事参照)、米国の主要港では輸入貨物量が今後大幅に減少することが予想される。今後の見通しについては、3月は前年同月比11.1%増の214万TEU、4月は3.1%増の208万TEUと、2024年より高めの水準で推移すると見込まれている。しかし、それ以降は関税引き上げの影響などにより、5月は前年同月比20.5%減の166万TEUと急減し、19カ月連続の前年同月比増に終止符を打つ見通し。6月は26.6%減の157万TEUで、2023年2月以来の低水準に落ち込む。その後、7月は27%減の169万TEU、8月は同26.8%減の170万TEUとなり、例年よりも大幅に減少すると予想されている。

NRFのサプライチェーン・税関担当副会長のジョナサン・ゴールド氏は「小売業者は、関税の上昇の影響を緩和するため、数カ月にわたって商品を米国内に持ち込んできたが、(ベースライン関税を含む)『相互』関税の賦課により、その機会は終わりを迎えた」と述べた。「関税は、最終的には消費者が負担する、米国の輸入業者に対する税金だ。現時点では、小売業者は少なくとも今後の展開を見極めるのに十分な期間、商品の輸入から手を引き、積み上げられた在庫に頼ることになる」との見方を示した。また、ハケット・アソシエイツ創設者のベン・ハケット氏によると、2025年初めの高水準を考慮しても、状況が変わらない限り、2025年の総貨物量は15%以上純減する可能性があるとの見通しを述べた。「このような不確実性の高い環境では、輸入貨物に関するわれわれの予測は、今後数カ月の間に大幅な調整を余儀なくされる。現時点では、輸入は5月までに減少に転じ、年内は劇的に減少する」との予想を述べた。

(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル、タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(注2)発表されている貨物量のTEUと前年同月比の数値は端数処理の関係で一致しない場合がある。

(樫葉さくら)

(米国)

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