ナイジェリア外相がニジェールを公式訪問、外相会談を実施
(ナイジェリア、西アフリカ、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、ニジェール)
ラゴス発
2025年04月23日
ナイジェリアのユスフ・トゥガー外相は4月16日、ニジェールの首都ニアメを訪問し、同国のバカリ・ヤオ・サンガレ外務・協力・在外ニジェール人担当相(外相)と会談した。
共同声明によれば、会談は極めて友好的な雰囲気の中で行われ、両国は、関係の修復、安全保障分野での協力、地域貿易の活性化について協議し、今後の調整を進めていくことで一致した。また、インフラ関連では、両国をまたぐカツィナ・ジビヤ・マラディ間の鉄道連結計画のほか、天然ガスパイプライン、光ファイバー、民間航空、情報通信分野の協力の重要性も再確認された。これらの課題に取り組むため、ナイジェリア・ニジェール合同委員会(NNJC)の再開に向けた調整を進めることで両国は合意した。
今回の外相訪問は、ニジェールで軍事クーデターが発生した2023年7月以降、冷却していた両国関係(注1)の改善に向けた、ナイジェリア側の明確な歩み寄りを示すものといえる。
なお、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は2025年1月29日、ニジェール、マリ、ブルキナファソの脱退を正式に承認したが(2025年1月30日記事参照)、その一方で同日、ニジェールも加盟するサヘル諸国連合(AES)(注2)も声明を発表。これまでのパスポートは有効期限まで利用が可能としつつ、AESのパスポートが同日から発行開始となり、ECOWASのパスポートからの切り替えが可能とした。また、AESは同年3月にマリのバマコで開催された首脳会議において、ECOWASを含む連合国域外からの輸入に対して、0.5%の連邦課税(Confederal Levy)を導入することを決定し、ECOWASからの明確な離脱姿勢を示していた。
こうした状況の中、ニジェール政府は、今回のナイジェリアによる友好的な働きかけを歓迎し、サンガレ外相のナイジェリア訪問についても受諾した。訪問日程は今後、外交ルートを通じて調整される見通しだ。
(注1)ECOWASはニジェールに対して、軍事介入や経済制裁の導入を発表してきた(2023年7月31日記事、2023年8月14日記事参照)。
(注2)2024年9月16日に、ニジェール、マリ、ブルキナファソ3カ国で、サヘル諸国連合、Alliance des États du Sahel(AES)を設立し、加盟国間での相互防衛協定を締結した。
(奥貴史)
(ナイジェリア、西アフリカ、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、ニジェール)
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