世界的なフィルター企業カムフィル、日本市場にも注目

(マレーシア)

クアラルンプール発

2025年04月08日

ジェトロは310日、クリーンエアソリューションを販売するスウェーデン企業カムフィル(Camfil)の現地法人カムフィル・マレーシア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを訪問し、マレーシアでの事業活動や今後の事業計画などについて、インタビューを実施した。同社のビジネスビジョンは「人々がきれいな空気を吸うことは人権」ということだ。そのビジョン達成のために、商業用や産業用の空気フィルター、大気汚染防止装置などを販売している。これらの製品は半導体、自動車、医療機器、食品などの幅広い分野で利用されている。例えば、半導体工場では、わずかな汚染が製造中のチップに欠陥を生み出す恐れがあるため、こうしたリスクを低減させる同社のフィルターの引き合いは強い。

写真 半導体製造のクリーンルームで使用されるカムフィルのフィルター(同社提供)

半導体製造のクリーンルームで使用されるカムフィルのフィルター(同社提供)

首都クアラルンプールから車で北に2時間30分ほどのペラ州バトゥ・ガジャに位置するカムフィル・マレーシアの設立は、1997年にさかのぼる。従業員は500人強で、外国人労働者はおらず、マレーシア人のみで構成している。工場では自動化が進み、世界中に商品を輸出する体制を構築している。2024年2月にはアジア太平洋地域の需要増加に対応するために工場を拡張し、研究開発に特化したラボも有している。同社の取引先は世界中の企業に及び、日本では自動車、機械、インフラ関連の企業など多岐にわたる。

日本企業との関係も深いだけに、同社は日本への進出も考えている。最大の要因はフィルター市場の拡大だ。日本では、北海道や熊本で大規模な半導体工場の建設が進んでいる。微細化が進展する中、フィルターの重要性は増している。半導体にとどまらず、医療機器や発電分野など、同社製品の販路拡大が見込める点も、対日投資への関心を後押しする。カバーエリアも広いだけに、投資地域の候補先も多岐にわたりそうだ。同社は現在、商社を通じて、日本市場で各種フィルターを販売している。

(新田浩之)

(マレーシア)

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