米国の相互関税、湖北省の上場企業への影響は軽微
(中国、米国)
武漢発
2025年04月10日
米国が発表した相互関税の導入について(2025年4月3日記事参照)、税率が34%(注)に設定された中国では、各種メディアなどで企業への影響について報道されている。
湖北省の「湖北日報」は4月8日、今回の米国政府の措置に対する省内企業の反応を紹介し、多くの企業団体は、米国による相互関税が中国経済と株式相場に与える影響は短期的なものであり、中長期的には中国経済は相互関税の影響に対処できるだけのタフさを備えていると考えているとした。
また、鉄鋼、食品、情報通信、新エネルギー、新素材などの上場企業の多くは、対米事業収入の割合が比較的小さく、一部の商品は相互関税の対象外だとしている。また、企業も引き続き国内代替のプロセスを加速させるなどして、相互関税の影響は限定的だとしている。他の多くの企業も、効果的に外部サプライチェーンの変動リスクに対処できるよう、国際的な影響力と企業ブランドのコア競争力を高め、グローバルにサプライチェーンを展開していると紹介した。
鉄鋼業界の上場企業は一般的に、中国から米国への鉄鋼輸出規模は小さく、世界の鉄鋼需要の回復力が支えとなり、今回の相互関税が鉄鋼輸出に与える直接の影響は限られている。このほか複数の証券会社の分析として、中国から米国への自動車輸出は2024年で11万6,000台であり、中国全体の自動車輸出の1.81%を占めているに過ぎず、自動車産業への相互関税の影響も小さいとした。
湖北省の上場企業のうち、新材料生産企業の万潤股份、動物医療分野の研究開発企業の回盛生物などは、米国の相互関税に関する大きな影響はないと回答した。車載電池企業の駱駝股份は、同社の対米輸出規模は全体的に小さく、影響はコントロール可能であり、同社の海外事業への影響は比較的小さいとした。
環境関連企業の匯緑生態科技は、今回の相互関税は、マレーシアに海外生産拠点を設立した海外子会社の武漢俊恒に影響を与えていない。こうした海外工場は、相互関税によってもたらされる潜在的なリスクに対処するのに役立つとしている(「証券時報」4月7日)。
(注)34%は本稿執筆時点の税率
(高橋大輔)
(中国、米国)
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