国家規格SNI、公式代理人の設定要件を追加

(インドネシア)

ジャカルタ発

2025年04月18日

インドネシアでは、国内で流通する製品の品質を保証するため、インドネシア国家規格(SNI:Standard National Indonesia)を定めている。そのうち、政府が指定するSNI強制品目PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2025年1月時点で321品目、対象品目は拡大傾向)は、認証取得を義務付けており、未取得の場合は輸入や流通が許可されない。

2024年6月以降、SNI認証に関する複数の工業大臣規則が順次改正・施行され(注)、鉄鋼製品、カーオーディオなど幾つかの製品を対象として、海外で製造を行う事業者は、新たにインドネシア国内での公式代理人(Official Representative)の指名を義務付けた。主な規定内容は次のとおり。

  • 海外で製造を行う事業者は、インドネシア国内に拠点を有する公式代理人を指名しなければならない。
  • 原則として、1人の公式代理人は1つの海外製造事業者のみを代表する。
  • 公式代理人は、代理する海外製造会社からブランドライセンス登録が必要。
  • 公式代理人は、SNI認証製品を保管するための倉庫を確保する必要がある。倉庫の所在地は、公式代理人の所在地と同じ地域、または近隣地域であることが求められる。輸入されたSNI認証製品は、原則として一度この倉庫に搬入され、品質管理や監督を受けられる状態にする必要がある。
  • 公式代理人が自ら輸入者とならない場合、SNI認証製品の輸入を行う1社以上の輸入者を指名することができる。

SNI認証は工業省の所管だが、認証取得プロセスでは事前にLS-Pro(製品認証機関)による審査・承認が必要だ。主要なLS-Proである国営スコフィンド社のセールスオフィサー、パンジー・プルダナ・スティアディ氏は3月26日、ジェトロのヒアリングに対して、製品の審査・承認での重要なポイントや公式代理人に倉庫設置が求められた背景を次のとおり明らかにした。

  • 公式代理人の責任:SNI認証製品が国内市場で規定を順守していることについて、全責任を負うと解釈される。これには、製品の安全性や品質に関する問題発生時の対応、当局からの照会対応が含まれると考えられる。
  • 契約関係:公式代理人は、(1)海外製造事業者との間でブランド使用に関する契約、(2)指名する輸入者との間で協力に関する覚書(MoU)などを締結し、必要に応じて公証人による認証を受けることが求められる可能性がある。運用開始後の実績はまだ少ないものの、乳製品の輸入で外資系企業が公式代理人を設定した事例がある。ただし、具体的な認証取得の要件などは対象製品や個別の状況によって異なる可能性があるため、事前にLS-PROへの相談が推奨される。
  • 倉庫設置要件が追加された背景:輸入者が複数の場合、輸入通関後に各輸入者にそれぞれ国内流通させると公式代理人が監視をしきれない可能性があるため、いったん公式代理人の倉庫に納入させることで、当局による監視(モニタリング)を容易にするため。

最新の運用状況に注意必要

今回多くの製品で工業大臣規則が改正・施行されたが、製品によっては、担当LS-Proが未定の製品や、オンライン申請システム(SIINAS)の関連機能が未整備の製品もある。これにより、既存のSNI認証の有効期限が来るにもかかわらず、新規則に基づく更新申請が円滑に進まない可能性も懸念される。SNI認証の更新や新規取得を予定している場合は、管轄のLS-Pro、または工業省担当部署への確認などを通じ、自社製品分野の最新状況について把握する必要がある。

(注)対象製品分野ごとに異なる工業大臣規則が定められている。例えば、シートガラスに関する2024年第48号、たばこ紙に関する2024年第63号などがある。

(中沢稔)

(インドネシア)

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