チリ、米国追加関税に農林水産物への影響警戒

(チリ、米国、中国)

調査部米州課

2025年04月08日

チリの経済・振興・観光省と農業省は、米国のドナルド・トランプ大統領が4月2日に発表した関税政策(2025年4月3日記事参照)を受け、チリ産農林水産物への関税賦課の影響を調査する目的で開催された臨時会合の様子をそれぞれのウェブサイト上で伝えた。同会合は4月7日に開催され、農林水産物の輸出業者や関連の業界団体に加え、両省の閣僚や外務省国際経済関係次官官房(SUBREI)総局長、駐米チリ大使らが出席した。会合を終えたエステバン・バレンスエラ農業相は「(米国の関税措置に適切に対応するには)本日の会合を通じて合意した業界団体や省庁の枠組みを超えた官民の連携を積極的に推し進めていくことが重要だ。さらに、中南米諸国とチリとの結びつきを強めることに加え、中国、ASEAN、日本といった戦略的に重要性が高い市場への農林水産物のプロモーションも引き続き実施する。こういった市場の多角化へ向けた取り組みによって、輸出国としてのチリのポジションは安定的なものとなり、単一の市場への依存度を減らすことにつながる」とコメントした。

チリ政府は米国の関税措置については今回の会合に先立って、4月3日にマリオ・マルセル財務相を通じ、政府としては引き続き自由貿易を推進する方針を表明していた(2025年4月7日記事参照)。

政府の発表によると、2024年のチリから米国への農林水産物の輸出額は39億6,600万ドル(米国への輸出総額の約25%に相当)で、主要な輸出品は果物、林産物、ワインなどのアルコール飲料、鶏などの肉類の4つとされている。近年、チリ産品が米国以外の市場への輸出を増やした例として、真っ先に挙がるのは、中国向けのサクランボの輸出だろう。チリ中央銀行のレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2024年のチリのサクランボ輸出額は35億7,500万ドル(前年比51.4%増)、そのうち9割超の32億8,400万ドルが中国向けとされている。

(佐藤竣平)

(チリ、米国、中国)

ビジネス短信 a1c927795462cb68