大阪・関西万博を契機に、日ASEAN関係の未来を占う国際シンポジウムを大阪で開催
(日本、ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年04月23日
日本アセアンビジネス促進プラットフォーム(AJBPF、注)と日本経済新聞社は4月21日、ジェトロと共催で、日ASEAN関係の未来を占うEXPO記念国際シンポジウムを大阪市内で開催した。日本とASEANの経済界や政府、国際機関の関係者によるスピーチが行われた。
今回のシンポジウムはAJBPFの事務局を務める大阪商工会議所が、大阪・関西万博を契機に日ASEANの経済・ビジネス交流をより一層深化させるため、AJBPFを構成するインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの商工会議所会頭や幹部を招聘(しょうへい)し、開催した。
大阪商工会議所の鳥井信吾会頭は開会あいさつで、新型コロナ禍が収束し、平和と安定の時代がやってくると思ったとたんに戦争がはじまり、世界の分断が強まるなど、「異常なまでの不確実性の時代」が到来していると指摘。他方、このような中でも、日ASEANは持続的発展可能な自由な経済・社会の構築という面で、ともに手を携えることができる関係にあると述べた。
ASEANのカオ・キムホン事務総長は来賓あいさつ(ビデオメッセージ)で、これまで両国・地域はともに成長し、豊かな未来を構築しようとの強い意思を持ち、さまざまな経済協力を推し進めてきた歴史があり、サプライチェーン(SC)再編・最適化、デジタル技術、脱炭素などにおいて共創可能なパートナーだ、とコメントした。また、古賀友一郎経済産業副大臣は両国・地域で推し進めるプロジェクトとして、脱炭素分野でのルール形成と政策協調、SC強靭(きょうじん)化と技術向上・雇用創出に資する次世代自動車産業戦略、産業競争力強化と情報セキュリティーに配慮した人工知能(AI)分野での協力などを挙げ、現在開催している大阪・関西万博は経済界の人的交流において絶好の機会であると述べた。
基調講演やパネルディスカッションには、ASEAN最大級の越境EC(電子商取引)プラットフォームのショッピー(シンガポール)や、タイ発のホテルチェーンであるセンタラホテルズ&リゾーツ、インドネシア最大の石油ガス関連企業プルタミナなど、ASEAN地域の有力企業の代表者が登壇し、自社事業を紹介したほか、米国トランプ政権による相互関税導入やパリ協定からの離脱によるビジネスへの影響や人的資本の活用、大阪・関西万博への期待などについて語った。
さらに、本シンポジウムではAJBPFメンバーから、今回採択された共同宣言の内容が発表された。本宣言には、貿易促進に資する販路開拓やイノベーション創出に向けたスタートアップ支援、グリーン分野での連携、人的資本活性化に関する事業の企画・実施が盛り込まれている。
AJBPFメンバーによる共同宣言報告(ジェトロ撮影)
(注)大阪商工会議所およびASEANの経済団体(インドネシア商工会議所、シンガポールビジネス連盟、タイ商業会議所、フィリピン商工会議所、ベトナム商工会議所、マレーシア商工会議所)が日ASEAN友好協力50周年を機に、両国・地域間のビジネス拡大と経済関係強化を目指し、2023年に立ち上げた枠組み。
(齋藤寛)
(日本、ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)
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