アルゼンチン中銀、中国人民銀行との通貨スワップ協定枠を更新

(アルゼンチン、中国)

ブエノスアイレス発

2025年04月11日

アルゼンチン中央銀行(BCRA)は4月10日、中国人民銀行(中央銀行)と締結した通貨スワップ協定のうち、発動済みの350億元分(約7,000億円、1元=約20円)の枠を12カ月間更新したと発表した。両行は2009年に締結した通貨スワップ協定を繰り返し更新しており、直近では2023年6月2日に3年間を有効期限にして更新し、1,300億元の枠を設定した。2023年に発動した350億元分の枠については、2024年6月に12カ月間更新しており(2024年6月14日記事参照)、今回はその枠をさらに12カ月間更新した。BCRAは、持続可能な通貨・為替体制への移行に伴うリスクを軽減することができるとして、今回の更新を評価している。

足元では、対外債務支払いなどで外貨準備高の減少が続いており、4月8日時点で246億7,700万ドル(グロス)と、2025年初の317億600万ドルから大幅に減少している。今回の更新によって中国人民銀行への返済が猶予されるため、IMFによる新たな支援の下で資本取引規制の解除を目指す政府には後押しとなる。

中国との協定を巡っては、米国のトランプ政権で中南米特使を務めるマウリシオ・クレバー・キャローン氏が4月3日、「最終的にわれわれが望むのは、アルゼンチンと中国との通貨スワップ協定の終了だ」「中国からの信用供与が維持されている限り、中国は常に搾取を続けることができる。従って、われわれにとってのIMFプログラムの目標は、中国の立場が強化されないようにすることだ」と発言していた。それに対して、中国外交部は4月8日、X(旧Twitter)の公式アカウントに「中国とアルゼンチンの通貨スワップ協定は、アルゼンチンの経済と金融の安定に貢献しており、アルゼンチン政府もこれを歓迎している。米国には正しい見解を持ち、ラテンアメリカ、カリブ海諸国の発展に貢献するために何ができるかを考えるよう求める」と投稿した。IMFとアルゼンチン政府が新たな支援の枠組みについてスタッフレベルで合意したことが4月8日に発表されている。中国、IMF双方の支援がアルゼンチンの経済安定化につながることが期待される。

(西澤裕介)

(アルゼンチン、中国)

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