米トランプ関税、エジプト製造業有利に、アパレル受注増加に期待

(エジプト、米国)

カイロ発

2025年04月11日

米国のトランプ政権が発動したエジプトに対する相互関税は10%だった。エジプト中央動員統計局(CAPMAS)によると、2024年のエジプトの米国からの輸入総額は75億6,000万ドルの一方、エジプトから米国への輸出総額は22億5,000万ドルにとどまり、エジプトの対米貿易赤字は輸出額の2.4倍に達した。エジプトの対米輸入の内訳は、石油製品が33億1,000万ドルで全体の43.8%、次いで穀物・果実・種子10億8,000万ドル(14.3%)、航空機・同部品5億1,000万ドル(6.7%)などとなっている。

一方、米国に対する輸出品では、衣料品が12億ドルで全体の53.3%を占め、次いで鉄鋼・鋳鉄製品1億3,000万ドル(5.8%)、じゅうたん・床材1億2,000万ドル(5.3%)だった。1億人を超える人口を有し、人件費の低廉なエジプトでは、繊維製品が対米輸出の大半で、相互関税が10%と諸外国の中で最も低くなったことから、エジプトのアパレル業界では、対米輸出が今後増加するという期待が生まれている。アレキサンドリアに複数の工場を持ち、米国向けにスポーツウエアブランドや米国大手スーパーマーケットのプライベートブランド向けアパレル製品を製造・輸出している国内大手アパレルメーカーの最高経営責任者(CEO)はジェトロに対し、これまで取引がなかった米国の輸入業者からの引き合いが増えていると語った。

なお、米国側から見ると、2023年のテキスタイル製品輸入総額2,240億ドルのうち、36.8%が中国から、12.8%がベトナムから、9.1%がメキシコからの輸入だった(ハーバード・グロース・ラブ)。4月9日付の米CNNによると、米国の新たな相互関税は、対中国が104%、対ベトナムが46%、対メキシコが25%となっている(注)。

(注)米国は4月9日、中国を除く多くの国に対する関税発動について、90日間一時停止すると発表した(2025年4月10日記事参照)。

(西澤成世)

(エジプト、米国)

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