自由アルゼンチン再建債(BOPREAL)シリーズ4を30億ドル分発行へ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年04月22日

アルゼンチン中央銀行は4月15日、自由アルゼンチン再建債(BOPREAL)シリーズ4を発行すると発表した。BOPREALはこれまで、シリーズ1からシリーズ3まで総額100億ドルが発行されている(添付資料表参照)。

中銀によると、BOPREALシリーズ4の発行額は30億ドル、償還期間は3年だ。これまでと同様にドル建てで発行し、ペソで購入することができる。金利は半年に1回、外貨で支払い、元本は満期時に一括で償還する。なお、金利は入札公示時に決定されるほか、BOPREAL購入時に適用される為替レートも不明だ。中銀はシリーズ4の発行目的について、「事業者が抱える関連会社に対する利益と商業債務の支払い」としているが、対象となる事業者の詳細も不明だ。

BOPREALはもともと、2023年12月12日以前に輸入または提供された財、サービスのうち、輸入代金が未払いだったもの、すなわち旧輸入債務の支払いが凍結されたことへの救済措置だった(注1)。そのため、シリーズ1とシリーズ2の購入対象は旧輸入債務を抱える事業者に限定された。だが、シリーズ3は入札が不調だったため、途中から購入対象者を未払いの利益や配当金を抱える事業者にも拡大し、全額が落札された。シリーズ3の入札が不調だったのは、シリーズ1、2に比べて償還期間が長く、シリーズ1のようなパイス(PAIS)税(注2)の免税などの恩典もないなど、中途半端だったためだ。

4月16日付現地紙「エル・クロニスタ」(電子版)によると、BOPREALの発行目的は、未払いの配当金や商業債務の整理に加えて、市場からペソを吸収し、ドル高圧力を軽減してインフレを抑制することにある。また、シリーズ4の発行については、「為替規制の解除と債務の整理に向けた一歩だが、最終的な解決策ではない」「中期的には、このスキームの持続可能性は、輸出を通じて外貨を調達し、国外から資金調達ができる状況を回復できるかどうかにかかっている」との識者のコメントを伝えた。

(注1)事業者はBOPREALを購入することで、次の2つの方法で外貨を取得し、輸出者に代金を支払うことができる。

  1. 利息と満期償還金を得て輸出者に支払う。
  2. 購入したBOPREALを国外の流通市場で売却して外貨を入手し、輸出者に支払う。

(注2)「社会的包摂の促進と資金調達のための外貨購入に係る税」の略。外貨購入に対して課税されるもので、2024年12月22日をもって廃止された。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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