スリランカ、米政府との対話に意欲、関税・非関税障壁削減へ

(スリランカ、米国)

コロンボ発

2025年04月09日

米国のドナルド・トランプ大統領は4月2日、米国の貿易赤字額が大きい国・地域に対して、4月9日から「相互関税」を課すと発表したが、スリランカから米国に輸出する品目には、米国時間4月5日から10%、4月9日から34%、合計44%の追加関税が適用される(2025年4月3日記事参照)。

スリランカの財務・計画・経済開発省は4月4日、米国との貿易関係強化に向けた対話を希望するとの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。政府はこの声明で、米国との経済的関係の深化に対する強い決意を再確認するとともに、2022年に経済危機に直面した同国の経済回復に向けた米国による対外債務再編などの支援に謝意を表した上で、スリランカの輸出への影響や、世界的な需要減退によって経済回復が抑制され得ることへの憂慮を示した。また、貿易不均衡の対処に向けた方法を探求するため、米国政府との対話に意欲を示し、貿易投資を妨げる相当程度の関税や非関税障壁の削減への決意を示した。

アニル・ジャヤンタ・フェルナンド経済開発副大臣は4月6日の記者会見で、「われわれは現在、米国からスリランカへの輸入にかかる関税率変更の可能性を含め、相互関税の問題に対処するために最良の戦略を調査している」と語った。その上で「米国からの輸入にかかる関税をゼロに削減したとしても、米国からの輸入が大幅に増えることはないだろう。ただし、われわれは現在、IMFの金融支援を受けており(注)、あらゆる税収の削減については、まずIMFと協議しなければならない。また、関税削減以外には、米国からの輸入増加や公共投資の拡大を受け入れる余地がある」と話した。

(注)IMFによる金融支援パッケージ〔拡大信用供与(EFF)プログラム〕では、スリランカに対して2023年から4年間で総額22億8,600万SDR(約30億ドル)を提供している(2023年3月22日記事参照)。SDRはSpecial Drawing Rightの略で、特別引出権のこと。通貨ではないものの、その価値はドル、ユーロ、中国人民元、日本円、英国ポンドの5通貨のバスケットに基づいた国際準備資産。

(大井裕貴)

(スリランカ、米国)

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