カザフスタンの対米主要輸出品目の原油やウランは追加関税の対象外
(カザフスタン、米国)
タシケント発
2025年04月09日
ドナルド・トランプ米国大統領が発表した相互関税について(2025年4月3日記事参照)、27%の関税が導入されるカザフスタンでは貿易・統合省が4月3日に公式声明を発表し、カザフスタンから米国への輸出品目の大部分は米国側の例外リストに含まれていることから影響は軽微だと述べた。他方で、専門家からは間接的な影響、特にカザフスタンの主要輸出品である資源価格の下落を懸念する声が出ている。
同省声明によると、2024年のカザフスタンから米国への輸出額は約20億ドルに達するが、輸出品目の92%は原油やウラン、銀、フェロアロイなど、米国による今回の措置の例外リストに含まれる品目だ。「大部分が追加関税の対象外だと判明した」と発表した。加えて同省は声明で、対象品目への関税の適用を避けるために米国側と協議を行う意向を明らかにした。
専門家の多くも、カザフスタン経済に対して直接的な影響は限定的とみる。しかし、間接的な打撃は避けられないとの見方が大勢だ。経済学者のアルマス・チュキン氏は、カザフスタンから米国への輸出額が小さいため「今回の米国による措置が直接的な影響を与えることはないだろう」と述べる一方、間接的な影響は必至だと指摘。主要国経済の減速を引き起こし、カザフスタンの主要輸出品である鉱物や石油などの原材料の需要減少をもたらす恐れがある、と分析する(「フォーブス・カザフスタン」4月3日)。
ウラガト・コンサルティング・グループのディレクター、マラト・カイルレノフ氏は、原油価格下落の可能性を指摘したほか、カザフスタンの主要貿易相手国である中国やEUに打撃を与えることも、カザフスタンにとって「痛手となる」と述べた(「フォーブス・カザフスタン」4月3日)。
経済学者のエルダル・シャムストディノフ氏は、特に中国での石油需要が冷え込むことで石油価格が短期的に下落すると見通す。一方で、長期的にはドル安、地政学的リスクの可能性に加え、OPECプラス諸国による減産が価格下落を食い止めるだろうとの観測を示した。カザフスタンは資源輸出先の多様化と、新たな国との自由貿易協定の締結を進めることで、輸出促進と米国市場のリスク低減を目指すべきだと述べた(「クルシブ」4月3日)。
(一瀬友太)
(カザフスタン、米国)
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