シンガポール総選挙、5月3日投票へ
(シンガポール)
シンガポール発
2025年04月22日
シンガポールのターマン・シャンムガラトナム大統領は4月15日、ローレンス・ウォン首相兼財務相の指示に基づき、議会を解散した。総選挙の公示は4月23日に予定され、投票日は5月3日で即日開票される
。2024年5月に第4代首相に就任したウォン政権初の総選挙となる。
ウォン首相が率いる与党・人民行動党(PAP)は前回2020年7月の総選挙では、定数93のうち83議席を獲得し、憲法改正などに必要な3分の2を大きく超える圧倒的多数で勝利を収めていた(PAPの現議席数:79議席)。しかし、PAPの得票率は61.2%で、2015年の総選挙時の69.9%を下回った。また、野党の労働者党(WP)が6議席から10議席に議席数を伸ばしていた(WPの現議席数:8議席、2020年7月15日記事参照)。今回の総選挙は選挙区の見直しにより、18のグループ選挙区(GRC、注)と15の1人区となり、定数が合計97に増える。
同首相は4月17日、「世界の変化、新たなチーム、新たな決意。明るい未来を構築へ」と題したPAPのマニフェストを発表するとともに、同党から新たに立候補する新人候補32人(女性候補13人を含む)を紹介した。18日付の地元英字紙「ストレーツ・タイムズ」によると、PAPは1990年代以来、総選挙で毎回、23~27人の新人候補を投入しており、今回の新人投入数は過去最大となる。同首相はマニフェスト発表の中で、米国の関税措置に伴う混乱に言及し、「迫りくる嵐に突入しつつある」と警告した。その上で、同国のために「最善のチームを集めた」と訴え、国民の団結と支持を求めた。
国民の3割、支持政党が未定
シンガポールの調査会社ブラック・ボックスが国民(永住権者を含む)約1,500人を対象に3月28日~4月8日に実施した調査(4月15日発表)によると、調査対象の30%が投票先は未定と答えた。特に北東部と西部の住民、30歳以下の有権者の間で、投票先は未定と答えた人が多かった。また、ウォン首相を支持すると答えた割合は75%だった。
(注)同国の選挙区は、グループ選挙区(GRC)と1人区からなる。GRCは4~5人の候補者を擁立する選挙区で、華人以外の少数民族の声を国会に反映することを目的に、候補者の少なくとも1人が少数民族の必要がある。
(本田智津絵)
(シンガポール)
ビジネス短信 8220ab568db5bd37