中国、第1四半期の貿易総額が過去最高を更新
(中国)
北京発
2025年04月18日
中国海関総署(中国税関)の4月14日の発表によると、2025年第1四半期(1~3月)の貿易総額は前年同期比0.2%増の1兆4,344億ドル、うち輸出は5.8%増の8,537億ドル、輸入は7.0%減の5,807億ドルとなった。人民元建てでは、貿易総額が前年同期比1.3%増の10兆3,013億元(約216兆3,277億円、1元=約21円)となり、8四半期連続で10兆元を超え、第1四半期としては過去最高を更新した。うち、輸出は6.9%増の6兆1,314億元、輸入は6.0%減の4兆1,700億元だった。
第1四半期の貿易額を中国の主要な貿易相手国・地域別にドルベースでみると(添付資料表参照)、輸出では、最大の相手先であるASEAN向けが前年同期比8.1%増で、2位のEUと3位の米国向けがそれぞれ3.7%増、4.5%増となった。輸入では、1位のASEANと3位の台湾はそれぞれ2.8%増、17.8%増となったが、2位のEUは6.3%減だった。また、日本との貿易は輸出が2.8%増、輸入が4.1%減だった。
主要品目別では、輸出は、肥料が前年同期比42.7%増と増加したほか、食糧と集積回路がそれぞれ12.3%増、10.8%増となった。他方、石油製品(23.5%減)、陶磁器(19.3%減)、中薬材および中成薬(18.9%減)、かばんなど(14.3%減)、靴(11.2%減)、レアアース(10.9%減)が2桁減だった。輸入では、航空機(注1)が前年同期比2.6倍となったほか、自動データ処理機械(パソコンなど)およびその部品が85.0%増、天然ゴムおよび合成ゴム(ラテックスを含む)が52.6%増と大幅に増加した。一方、自動車(44.5%減)、穀物(41.2%減)、レアアース(31.0%減)は3割以上の減少となった。
海関総署は同日の記者会見で、輸出が増加した要因として、グローバル市場からのニーズに基づく、貿易業者の迅速な対応によるものと解説した。輸入が減少した要因としては、一部国際商品の価格下落に加え、営業日数が前年同期から2日少ないことなどがあるとした。また、最近の米国の関税政策に関しては、中国と米国を含む世界の貿易にマイナスの影響をもたらすことは避けられず、中国は必要な対抗措置を実施しているとともに、ハイレベルの対外開放を揺るぐことなく推進し、各国と互恵・ウィンウィンの経済貿易協力を展開するとした(注2)。
東方金誠研究発展部の馮琳執行総監は、貿易の外部環境が変わる可能性が大きくなっている背景の下で、中国はこれから貿易安定化に向けた取り組みを強化し、的を絞った「輸出用製品の国内販売への転換」を支援する政策を打ち出すと分析した(「中国経済網」4月15日)。
(注1)非積載状態の重量が2トンを超える航空機を指す。
(注2)対外貿易の安定した発展を促進するため、海関総署は4月15日、輸出入企業などとの座談会を開催し、「多様な市場を開拓し、製品の転換とアップグレードを加速させ、貿易の新たなチャンネルと方式を切り開き、国際・国内の双方の市場を活用し、外部環境の不確実性に対し自らの発展による確実性をもって対応することを期待する」と述べている。
(蔣春霞)
(中国)
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