米ロサンゼルス市長が演説、ワールドカップや五輪に向け治安改善や復興加速、財政難克服を強調
(米国)
ロサンゼルス発
2025年04月23日
米国カリフォルニア州ロサンゼルス市のカレン・バス市長は4月21日、市庁舎で市民に向けて同市の現状に関する演説を行った。FIFAワールドカップが約1年後、オリンピックが約3年後に迫る中で、治安改善や山火事からの復興(2025年1月28日記事参照)、財政難克服などを強調した。
ロサンゼルス地域では長年、ホームレス対策が課題となってきたが、全米でホームレス数が18%増加している一方で、同市では基金の活用や低コストでの住宅提供などが功を奏し、路上生活者数が10%減少している。また、包括的な安全対策の推進により、2024年に殺人事件が14%減少、銃撃事件の被害者が19%減少するなど、暴力犯罪・財産犯罪の双方が減少した。2025年1月に発生した大規模山火事については、住宅再建許可の交付ペースを速めたり、職を失った労働者や被災した企業への支援を提供したりすることによって、カリフォルニア史上最速のペースで復興が進んでいることを報告した。
財政に関しては、約10億ドルの財政赤字となっている現状を「破綻したシステム」とした上で、新たな収入源確保に取り組みつつ、最後の手段として1,647人の人員削減を行う方針も示したが、警察官や消防士への影響はないと述べた。
同市の経済について、ロサンゼルス国際空港における新たな契約・建設、コンベンションセンターの改修など地域経済の活性化につながるプロジェクトを紹介した。さらに、カリフォルニア州の映画・テレビ関連税額控除プログラム(注)の拡充を通じて、ハリウッド地域への継続的な支援を強調した。
また、生活費が上昇し、市民の生活が困難となっている中で、関税と貿易戦争が物価をさらに高騰させるとの懸念を表明しつつ、「われわれは移民がさまざまなかたちでこの街にどれほど貢献しているかを知っている」と述べ、移民か否かにかかわらず、市民全員を守っていくことを誓った。
(注)同プログラムは、バス市長が同州議会下院議長を務めていた際に創設され、数百億ドルの投資、20万人の雇用創出に貢献してきたとされる。
(堀永卓弘)
(米国)
ビジネス短信 79f5da583f760763