アルゼンチン中銀、為替相場制度を為替バンド制へ移行

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年04月16日

アルゼンチン中央銀行は4月14日、為替相場制度をクローリング・ペッグ制から為替バンド制へ移行した。中銀はこれまでインフレ抑制を目指し、公式為替レートと非公式の闇レート、いわゆるブルーレートの乖離幅が広がるのを防ぐため、公式為替レートを毎月1%切り下げるクローリング・ペッグ制を採用していた。この度、完全な変動相場制への移行を目指して、為替バンド制を導入した。為替ハンド制のもとでは上限と下限が設定され、バンドの範囲内で為替レートは需給に応じて自由に変動するが、バンド幅を超えて変動する場合は中銀が介入する。

中銀によると、4月のインターバンク市場(MLC)のバンド幅は、下限を1ドル1,000ペソ、上限を1ドル1,400ペソとし、上限、下限ともに毎月1%ずつバンド幅を拡大する。仮にバンドの下限を超える、つまり、ペソ高・ドル安になる場合は、中銀がドル買い・ペソ売り介入を行う。なお、これまでは介入の結果、市場に流通するペソが増加してインフレにつながることを回避するべく、国債の売買を通じて市場のペソを吸収する「不胎化」を同時に行っていたが、今後はこの不胎化を行わない。

バンド制導入初日の4月14日のインターバンクレートの終値は1ドル1,182.42ペソで、バンド制導入前の4月11日の終値1,078.38ペソから9.6%下落した。現地紙「アンビト」(電子版)によると、4月14日の非公式の闇レート(ブルーレート)の終値(売りと買いの仲値)は1ドル1,270ペソで、4月11日の終値1,355ペソから6.3%上昇し、公式為替レートとの乖離幅は20%から6.9%にまで縮小した。乖離幅縮小の背景には、個人による外貨購入規制の解除がある。4月11日に公布された中銀通達A8226PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、これまでの月200ドルまでの購入制限を廃止し、個人による無制限の外貨購入を認めた。ただし、ペソ(現金)でドルを購入できるのは月100ドルまで。また、4月14日に公布された徴税・税関管理庁(ARCA)一般決議5672/2025号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、所得・個人資産税(30%)の課税対象から個人の外貨購入を除外した。なお、こうした個人による外貨購入規制の解除の結果、闇ドルへの需要が縮小しているようだ。非公式の両替商によると、今後も乖離幅が縮小する傾向が続くとみられる。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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