2024年のGDPは2.9%増、2年連続でプラス成長

(ウクライナ)

キーウ発

2025年04月10日

ウクライナ国家統計局の発表(3月31日)によると、同国の2024年の実質GDP成長率は2.9%だった。2023年の5.5%に続き2年連続のプラス成長を記録したものの、ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)が2025年1月30日に発表したインフレ報告での3.4%の予想を下回った(添付資料表参照)。

経済活動別でみると、金融・保険業が前年比27.4%増加したほか、建設業(16.2%増)、運輸・倉庫業(11.4%増)、教育(10.8%増)、芸術・娯楽・レクリエーション(8.4%増)、情報通信業(8.3%増)、製造業(6.0%増)などがGDPの成長に寄与した。一方、農林水産業(7.3%減)、卸売り・小売り・車両修理業(4.1%減)は前年割れだった。

四半期ごとの成長率の改定値も発表され、2024年第1四半期(1~3月)は前年同期比6.8%、第2四半期(4~6月)は4.0%、第3四半期(7~9月)は2.2%となった。今回初めて発表された第4四半期はマイナス0.1%で、NBUが2024年11月7日に発表したインフレ報告での2.4%の予想を大きく下回った。四半期の成長率でマイナスとなったのは、2023年第1四半期のマイナス10.2%以来7四半期ぶり。

2024年通年の名目GDPは7兆6,587億フリブニャ(約27兆2,650億円、1フリブニャ=約3.56円)で、物価変動の指標のGDPデフレーターは前年比で12.3%上昇した。

2025~2027年のGDP成長率の推移について、NBUは1月30日に発表したインフレ報告にて、それぞれ3.6%、4.0%、4.2%と予想した。一方、IMFは拡大信用供与措置(EFF)の第7回レビュー完了報告(3月28日発表)で、それぞれ2~3%、4.5%、4.8%と予測した。

IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、上記の報告の中で、ウクライナは巧みな政策と外部からの支援によってマクロ経済の安定性を維持しているものの、エネルギー不足や労働力不足といった逆風が影響し、成長の減速は2025年も続くと予測している。

ウクライナのインフレ率は、2024年3月と4月の3.2%を底に、2025年2月は13.4%まで上昇した。このインフレの加速を抑制するため、NBUは2024年12月から2025年3月にかけて政策金利を13%から15.5%まで段階的に引き上げた(2025年3月17日記事参照)。このような取り組みに対し、ゲオルギエバ専務理事は「金融政策引き締めサイクルは適切である」と述べたうえで、インフレが進む場合、中央銀行はさらなる行動を起こす用意をしておくべきだと指摘した。

(柴田哲男、坂口良平)

(ウクライナ)

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