セブミツミ、半導体工場新棟の建設起工式、経済特区庁らは米国関税にも言及
(フィリピン)
マニラ発
2025年04月16日
コネクターや光デバイス製品、半導体などの生産を行うセブミツミ(注)は4月10日、同社セブ工場で新棟建設の起工式を行った。
このプロジェクトは、ジェトロが受託する「グローバルサウス未来志向型共創等事業」の一環として行われるもので、セブミツミ内に最先端の半導体薄型パッケージ用高生産性ラインを構築し、増産対応とコストダウンの実証を目的としている。設備自動化やプロセス清流化などの生産革新を進め、月産5,000万個(現行比1.5倍)の生産能力拡大に取り組む。新棟の完工は2026年度(2026年4月~2027年3月)を予定し、2027年度上期には生産を開始する計画だ。
セブミツミの起工式(ジェトロ撮影)
フィリピン、米国関税率の低さでさらなる投資期待
起工式であいさつしたフィリピン経済特区庁(PEZA)のテレソ・パンガ長官は「セブミツミの半導体工場新棟建設は、技術革新と雇用の創出により、フィリピン全土とセブ地域に大きく貢献する」と期待を示した。また、昨今のフィリピンへの外国直接投資認可動向にも触れ、2025年第1四半期(1~3月)に中国がフィリピンへの国別投資認可額ベースで初めて首位となったことを明らかにした。他方で、世界で大きなシェアを持つ自動車関連企業から聞いた話として、日本や韓国の自動車メーカーが中国製部品への依存度を下げるため、部品の調達先を中国からフィリピンに移管し始めているという。米国の第2次トランプ政権の相互関税の状況もあり、企業はチャイナプラスワン戦略の下、投資対象国としてフィリピンに注目しているとの認識を示した。
フィリピン半導体・エレクトロニクス産業連盟(SEIPI)のダニロ・ラチカ代表は「米国の相互関税への対応には、「報復」「交渉」「何もしない」の3つの選択肢しかなく、「報復」は良い戦略ではない。中国やEUは米国に報復関税を課しているが、フィリピンに対する関税率は17%と低く、近隣のASEAN諸国と比べても競争力がある」との認識を示した。さらに、2024年11月に成立したCREATE MORE法(共和国法第12066号、2024年11月12日記事参照)の追加控除制度について触れ、電気代や人材育成費などが課税所得から控除され、再投資に回すことができるため、今がフィリピンへの投資の好機との見方を示した。
(注)セブミツミは、ミツミ電機(ミネベアミツミの100%子会社)のフィリピン子会社。
(中村和生)
(フィリピン)
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