ポーランド政府、米国関税政策による産業界への影響を懸念
(ポーランド、米国)
ワルシャワ発
2025年04月08日
米国のドナルド・トランプ大統領が4月2日に相互関税を発表し、EUに対しては20%の追加関税を課すことを決定した(2025年4月3日記事参照)。これを受けて、ポーランドのドナルド・トゥスク首相は4月3日、X(旧Twitter)に「友情とはパートナーシップを意味し、パートナーシップとは真に相互的な関税を意味する。適切な決定が出されるべきだ」と投稿し、「追加関税によってポーランドのGDPは0.4ポイント減少する可能性があり、損失は100億ズロチ(約3,800億円、1ズロチ=約38円)を超えることになる」として、米国の関税政策による影響への懸念を示した。トゥスク首相は4月8日にポーランドの自動車産業の代表者と会合を行い、米国による追加関税導入後の業界の状況について協議を行う予定だ(自動車・同部品の米国輸入に対する25%の追加関税に関しては、2025年4月3日記事参照)。
ポーランド経済研究所(PIE)によると、ポーランドにとって米国は8番目の輸出相手国にすぎないものの、付加価値の輸出相手国としては、ドイツに次いで2番目だ。米国で消費されるポーランドの付加価値230億ドルの57%が他国を経由して、間接的に米国に輸出されている。ポーランドのGDPの2.6%はポーランドの付加価値に対する米国の需要によって生み出されており、同所の試算によると、米国がEUからの輸入品に25%の関税を課した場合、ポーランドのGDPは0.38~0.43%縮小する可能がある。また、最も影響を受けるセクターとして、鉱業、運輸、自動車産業が挙げられている。
ポーランド自動車工業会(PZPM)のヤクブ・ファリシ会長は、米国市場に投入される自動車にはポーランドで生産される部品が使用されており、その価値は年間3億5,000万ユーロに上ると述べ、米国への輸入車に25%の関税が課されることで、ポーランドの産業も間接的に影響を受けることになると指摘した。
(金杉知紀)
(ポーランド、米国)
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