3月の貿易赤字は215億ドルに拡大、原油・金の輸入が増加
(インド)
ムンバイ発
2025年04月18日
インド商工省(MoCI)が4月15日に発表した「貿易統計(速報値)」によると、2025年3月の貿易収支は215億4,000万ドルの赤字(添付資料図参照)だった。原油や金などの輸入増加に伴い、貿易赤字は140億5,000万ドルだった前月から大幅に拡大した。他方、輸出額(サービスを除く)は419億6,830万ドルで前年同月比0.7%増加、輸入額は635億720万ドルで11.4%増加した。2024年度通年(2024年4月~2025年3月)では、輸出額は4,374億2,000万ドル(前年度4,370億7,000万ドル)、輸入額は7,202億4,000万ドル(同6,782億1,000万ドル)となり、貿易収支は2,828億2,000万ドルの赤字(同2,411億4,000万ドルの赤字)となった。
3月の輸出額の内訳をみると、電子製品45億6,348万ドル(前年同月比29.6%増)、医薬品36億8,151万ドル(31.2%増)、宝石類28億9,732万ドル(10.6%増)などが増加した。一方で、金額の大きいエンジニアリング製品108億2,455万ドル(3.9%減)、石油製品49億168万ドル(9.5%減)、有機・無機化学製品28億6,881万ドル(24.5%減)などは減少した。
輸入に関しては、輸入額全体の約3割を占める石油製品・原油が190億841万ドルで前年同月比16.3%増加したほか、電子製品94億2,612万ドル(25.0%増)、電気・一般機械46億5,408万ドル(12.1%増)、金が44億7,659万ドル(2.9倍)、有機・無機化学製品22億5,864万ドル(6.4%増)などが増加した。一方で、輸送機器25億5,248万ドル(25.5%減)、石炭・コークスなど22億4,852万ドル(30.2%減)などは減少となった。
地場格付け会社ICRAのチーフ・エコノミストであるアディティ・ナヤル氏は、「商品輸出のデータは、(米国の)関税引き上げ前の前倒し出荷の見通しを裏切り、予想を上回る赤字につながった。われわれは、2024年度第4四半期の経常黒字を10億~30億ドルと予想しており、通年の赤字はGDPの0.9%程度になると予想している」と述べている(「デカン・ヘラルド」紙4月16日)。
米国による相互関税措置の発表(注)を受け、インドで生産された米国アップルの携帯電話端末iPhone(アイフォーン)など、一部製品について対米輸出に前倒しの動きが見られている、と報じられており(2025年4月16日記事参照)、今後も米印間の貿易協議の行方や関税措置の適用状況が、輸出入動向に与える影響が注目される。
(注)米国は4月5日から、中国などを除く全世界に一律10%の追加関税を導入し、4月9日以降はインドには国別上乗せ関税として26%を適用すると発表したが、その後、発効まで90日間の猶予期間を設けている。
(篠田正大)
(インド)
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