UKEF、女性起業家支援のイベント開催、上場企業取締役会の女性比率は増加
(英国)
ロンドン発
2025年04月10日
英国輸出信用保証局(UKEF)は3月24日、女性起業家向けのイベントを開催し、女性主導の企業が直面する障壁を取り除き、貿易を通じたビジネスの成長を支援するとした。イベントには、女性起業家を対象としたファイナンス提供を目的とする「フィメール・ファウンダー・ファイナンス(FFF)」などが参加。UKEFはFFFとパートナーシップを締結し、相互の顧客の紹介を促進し女性起業家の機会を拡大するとしている。
2月25日には、政府の支援を受けた報告書「FTSE女性リーダーに関する調査結果」が公表された。ロンドン証券取引所(LSE)の「FTSE350」(注1)構成企業の取締役会の女性割合(2024年)は、前年の42.1%から43.4%に増加。リーダーシップ層(注2)では34.5%から35.3%に増加した。リーダーシップ層での女性割合は、部門別では、人事(80%)、秘書役(57%)、法務(42%)で2025年中の目標としている40%を既に達成している一方、財務(22%)、情報(19%)で低く、依然として偏りが見られる。また、執行役員への登用率についても課題が残る。会長職に就く女性の割合は17%、CEO(最高経営責任者)は7%にとどまっている。
政府は、女性の機会均等の実現は「変化に向けた計画(Plan for Change)」(2024年12月6日記事参照)における成長目標の中核であり、女性が安定した高賃金の仕事に公平にアクセスできるようにすることで、生活水準の向上にもつながるとしている。
また、超党派の議員で構成される女性・平等委員会は2月3日~3月14日に、女性起業家に関する意見公募を実施した。女性が直面する障壁とその原因を分析、国内外におけるベストプラクティスを検証し、政府支援を検討するとしている。
米国では、連邦政府の多様性、公平性、包摂性(DEI)を終了する大統領令に署名(2025年1月28日記事参照)がなされるなど環境に変化が出ているが、英国では議会で審議中の雇用権利法案においても公平性について触れられている。英国人材マネジメント協会(CIPD)は、米国での変化に追随する動きが懸念されているものの、包摂的な文化や働き方が、関係性、業績、忠誠心を高めるとしている。また、CIPDは、女性人材確保に向けた強力かつ持続可能なパイプライン作りが不可欠としている。そのために、柔軟な勤務体制、キャリアパスの透明性、採用および選考プロセスの見直し、人材データの分析などの戦略が必要としている。
(注1)ロンドン証券取引所(LSE)の株式指標。LSEに上場する企業のうち、時価総額上位350位の企業の銘柄で構成している。
(注2)執行役員とその直属の部下。
(野崎真由美)
(英国)
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