連邦政府、国内製油所向け原油供給のナイラ建て取引を継続
(ナイジェリア)
ラゴス発
2025年04月25日
ナイジェリア連邦政府は4月9日、ナイジェリア国家石油会社(NNPC、2022年8月1日記事参照)が実施する国内製油所向け原油のナイラ建て供給制度「ナイラ・フォー・クルード(Naira for Crude)」(注1)の継続を発表した。同制度は2024年10月1日より半年間の試行期間で開始され、原油供給量は日量45万バレルを設定しており、そのうち38万5,000バレルがダンゴテ製油所(2023年5月11日記事参照)に割り当てられるとしていた。
契約終了が予定されていた3月末を前に、NNPCと国内製油所との間で制度継続に関する協議が続けられていたが、しばらくの間、継続の可否は明らかにされていなかった。このような状況下、ダンゴテ製油所は3月19日の声明で、ナイラ建てで購入した原油に基づく石油製品の販売を一時停止すると発表した。販売停止の理由として、原油調達コストがナイラ建てでの石油製品販売価格を上回り、収益が確保できない状況にあることを挙げた。また、NNPCからの原油供給量が設定された契約量を下回っていたため、同製油所は国外からもドルで原油を調達していた(注2)。
制度継続を受け、4月16日にはダンゴテ製油所がガソリンの卸売価格を1リットル当たり865ナイラ(約78円、1ナイラ=約0.09円)から30ナイラ引き下げ、835ナイラに設定した。これにより、小売価格も30ナイラ引き下げ、ラゴスは890ナイラ、南西部は900ナイラ、北西部と北中部は910ナイラ、南東部、南部、北東部は920ナイラとした。
現地の各紙報道では、これに対し、輸入取引を行っている独立系の石油製品販売業者を代表する団体のナイジェリア独立石油マーケター協会(IPMAN)は、価格引き下げを評価する一方で、既存の高価格在庫との価格差により、多くの業者が多額の損失を被るとの懸念を表明した。また、ナイジェリア石油製品小売店所有者協会は価格の急激な変動に反対し、規制当局に価格変動の影響を精査するよう求めている。さらに、ナイジェリア原油精製所所有者協会は、こうした価格変動により、石油製品の輸入業者が廃業になる恐れがあると指摘している。
(注1)ナイラ建てで国内原油を調達することで、外貨支出の削減や、国内精製能力の強化、燃料輸入依存の減少を目的としている。
(注2)ナイジェリアは石油生産国ではあるが、国内の国際石油会社は、国内製油所への原油供給を回避しており、国内の製油所は国内調達が十分にできていない。
(奥貴史)
(ナイジェリア)
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