米コロラド州知事が製造業者と関税政策の影響を議論、不確実性に対する懸念表明
(米国)
ロサンゼルス発
2025年04月21日
米国コロラド州のジャレッド・ポリス知事(民主党)は4月16日、ドナルド・トランプ大統領の追加関税が経済に与える影響について、同州北部の製造業者と議論した。ポリス氏は、トランプ氏の追加関税は経済に悪影響を及ぼし、企業を閉鎖に追い込み、高給の雇用を奪った上で、勤勉なコロラド州民の負担も増大させるといった意見を企業から聞いたという。
また、ポリス氏は「大統領の気まぐれで関税が引き上げられたり引き下げられたりする不確実性は、景気をさらに悪化させ、投資を阻害するだろう。大統領が真に米国の製造業のことを気にかけているならば、既に経済にダメージを与えて今後何年も続く可能性のある、この不完全な関税を撤廃すべき」とコメントしている。
同州に所在する電子機器製造業者バージェント・プロダクツのプレジデント、ジョン・セージ氏は、生産の受注は堅調に推移しているため、今のところインフレや景気後退の兆候は見られないとしつつも、「関税に関する不確実性により、エレクトロニクス業界の顧客からさまざまなシグナルや不安の声が聞かれ、厳しい状況となっている。中国からのオンショアプロジェクト(注)への動きが活発化しているが、顧客企業が製品コスト管理に対する確実性を求めているからだ」と述べている。
また、電気ボイラーなどの製造業者アトモス・ゼロのアディソン・スターク最高経営責任者(CEO)は「米国の労働力は世界でも有数の教育水準と能力を備えている。その才能をトースターのような利益率の低い消費財の製造に使うべきではない。むしろ、世界がエネルギーシステムを近代化するために必要な高付加価値の産業技術の製造に注力すべきだ。そうすることで、強靭(きょうじん)なサプライチェーン、高賃金、そして世界経済における米国の永続的なリーダーシップを構築できる」と述べている。
(注)プロジェクトを国内に移すこと
(堀永卓弘)
(米国)
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