在外ドイツ商工会議所、日・米・中国のドイツビジネス環境を調査
(ドイツ、日本、米国、中国)
デュッセルドルフ発
2025年04月15日
在外ドイツ商工会議所の調査によると、ドイツ企業にとって「安定性」が日本の強みとして評価されている一方、米国では政治の不安定性がビジネス運営上の課題に上がっている実態が明らかになった。
在日ドイツ商工会議所が2025年1月31日~2月16日に日本進出ドイツ企業を対象に実施した調査「日本におけるドイツビジネス2025」(2025年4月2日発表、回答企業数148社)によると、日本市場の魅力としては、「経済の安定性(95%)」「ビジネス関係の安定性と信頼性(93%)」「安全性、社会的安定性(87%)」「民主主義に基づく安定した政治環境(80%)」といった政治・経済・産業界の安定性に対する項目が軒並み評価を集めた。また、地政学上のリスクが高まる中、ASEANなどの第三国へ日本企業と連携し、プロジェクトを実施する意欲も回復しており、日本企業が持つ販路が高く評価されている。
一方、米国進出ドイツ企業を対象にした調査(2025年1月実施、回答企業数207社)によると、米国市場への投資理由としては市場規模および顧客への近接性がそれぞれ90%、71%と最大の理由になっており、この点が米国市場の大きな魅力となっていることがうかがえる。また、中国市場については、投資先、売り先としての魅力から、イノベーション創出の地としての重要性にシフトしていることが中国進出ドイツ企業を対象とした直近の調査(2024年9~10月実施、回答企業数546社)から明らかになっている。
ドイツ企業が国外で直面するビジネス運営上の課題を見ると、日本市場の最大の課題は、人材確保(82%)と、為替・金融リスク(77%)だった。米国では、熟練人材不足(55%)に次いで、政治の不安定性(45%)が課題として回答者から指摘され、この点に関し、日本のビジネス環境への評価と対照的な結果となった。米国市場はドイツ企業にとって引き続き非常に重要な市場と位置付けられており、回答者の74%は全世界での売り上げに占める米国の売り上げは15%以上と回答、うち22%は50%超と答えた。また回答者の60%(注)は米国内で生産拠点を保有すると回答したほか、84%が今後3年間での米国での投資計画があるとし、現地化を進める傾向もうかがえる。中国市場では、多くの回答者が需要の減退、価格圧力が課題と指摘した。今後のビジネス見通しについても、55%の企業がビジネスの悪化を予測し、前向きな展開を見込む企業は15%にとどまった。
(注)専門・金融サービスおよび運輸分野を除く。
(マリナ・プタキドウ、櫻澤健吾、福井崇泰)
(ドイツ、日本、米国、中国)
ビジネス短信 45721e66049e9334