パレスチナ自治政府のアッバース議長、アル・シェイク氏を副議長に指名
(パレスチナ、イスラエル、サウジアラビア)
テルアビブ発
2025年04月28日
パレスチナ通信社「WAFA」(4月26日)によると、パレスチナ解放機構(PLO)の執行委員会は4月26日、フセイン・アル・シェイク氏をPLO執行委員会とパレスチナ自治政府(PA)の副議長に指名することを承認した。なお、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース議長が同氏を指名した。
副議長職の設置は、パレスチナ中央評議会(PCC)が4月24日に賛成170票、反対1票の圧倒的多数の賛成で承認した。副議長は、同委員会の議長が同委員会メンバーの中から指名し、同委員会が承認をすると規定されている。また、同評議会の議長は、副議長への任務の割り当てや、解任する権利を有するとしている。
「タイムズ・オブ・イスラエル」紙電子版(4月26日)によると、副議長に指名されたアル・シェイク氏は執行委員会の事務総長を務めており、アッバース議長の側近であり腹心でもあるという。AP通信(4月26日)によると、同氏は民政問題に関するイスラエルとの主要窓口となっており、民政担当という立場から、パレスチナ自治政府で最も影響力のある人物の1人になっているという。
4月27日付サウジ国営通信社(SPA)によると、サウジアラビア外務省は、PAによる今回の副議長職の創設やアル・シェイク氏の同職への指名など、パレスチナ自治政府指導部による改革措置を歓迎すると表明した。同省は「これらの改革措置がパレスチナの政治的努力を強化し、パレスチナ人の正当な権利、とりわけ東エルサレムを首都とする1967年の境界線に沿った独立国家の樹立を通じた自決権の実現に貢献することを確認した」との声明を発表した。
アッバース議長は4月23日、第32回PCCで開会演説を行った。WAFA(4月23日)によると、同議長は、パレスチナが「われわれの存在を脅かす、新たなナクバ(大惨事)に近い、深刻な危機に直面している」と警告した。
同議長はPAの優先事項として、(1)イスラエル軍のガザ地区からの完全撤退、(2)ガザ封鎖の解除と支援物資の供給、(3)ガザ住民の強制移住阻止、(4)パレスチナ国家樹立に向けた政治的解決を挙げた。加えて、「パレスチナ人の唯一の正当な代表はPLOである」と強調し、ハマスに対して、「ガザにおける統治と権限の掌握を完全に終わらせ、PLOとPAにガザを引き渡す義務がある」と主張した。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘)
(パレスチナ、イスラエル、サウジアラビア)
ビジネス短信 43b660127c85c668