トランプ関税37%によるバングラデシュへの影響、現地日系企業6社に聞く

(バングラデシュ、米国、日本)

ダッカ発

2025年04月10日

米国のドナルド・トランプ大統領は4月2日、相手国の関税率や非関税障壁を踏まえて自国の関税率を設定する「相互関税」を導入する大統領令を発表(2025年4月3日記事参照)し、バングラデシュからの輸入品に37%の関税を課すと明らかにした。バングラデシュが輸入時に多くの関税や税金を課していることも、高関税率となったと要因の1つとみられる。

関税が発表どおり導入されれば、主要産業の繊維産業で影響があると予想されている。他方で、同様に縫製業の盛んなベトナムやカンボジア、スリランカ、ミャンマーはバングラデシュと比較してより高い関税を課され、インドはより低い課税割合となっている。国際競争環境は、ますます不透明な状況になる。

こうした中、在バングラデシュ日系企業6社の幹部に、相互関税の現状と懸念点を聞いた(インタビュー:2025年4月6日)。

(問)米国の相互関税についてどのような見立てをしているか。

(各社答)

  • 実態と運用、その実影響を見ていかなくてはならない。繊維産業への影響はあるだろうが、工場や原材料といった部分までどのような動きになるか見ていく必要がある(商社・卸売り)。
  • バングラデシュに交渉の余地があるのかどうかを見ている。ムハンマド・ユヌス首席顧問は交渉をしっかりと行うと言明しているが、具体的な部分がまだ見えてない点を懸念している(商社・卸売り)。
  • 繊維産業へ甚大な影響が出る可能性がある。米国バイヤーによる発注量低下、注文取り消しの対象といったことも考えられる。長期的な目線では、インフレ継続と工場労働者のデモにつながる可能性も否めない(商社・卸売り)。
  • バングラデシュ政府として、米国と交渉するにあたって、関税を含めた税制構造を変えるという交渉カードを持つ可能性がある。実現すれば、日系企業のみならずさまざまな企業に恩恵があり、国としても良い契機となる(商社・卸売り)。
  • 繊維産業への影響があると考えている。加えて、米国による関税賦課の動きを、他国も模倣する動きを懸念している。これまで、自由貿易において国や産業、物品の関係によって成り立っていた前提を考慮しない動きを注視している(商社・卸売り)。
  • バングラデシュ国内で製造して内販するという観点では、目先の問題はないと考えている。一方で、米国からの課税が多い他国の競合他社が米国から撤退し、バングラデシュに参入してくる可能性を懸念している(食料品)。

(箕浦智崇)

(バングラデシュ、米国、日本)

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