メキシコ政府、相互関税の回避に関して対米交渉の成果をアピール
(メキシコ)
メキシコ発
2025年04月04日
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は4月3日早朝の記者会見で、米国政府が4月2日に発表した関税措置(2025年4月3日記事参照)に対してコメントした。「メキシコに対して相互関税は賦課されない。これは米国政府との間に築かれた良好な関係によるものだ」と述べ、これまでの米国との交渉の成果を強調した。また、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム、自動車と同部品への追加関税については、「メキシコとカナダだけでなく、全世界を対象としている。自動車産業はメキシコにおいて特別であり、(北米圏において)非常に統合されていることを忘れてはならない」と発言し、米国政府と対話や協議を続けていくとした。
同記者会見に同席したマルセロ・エブラル経済相は、「シェインバウム大統領の戦略は成功し、われわれは優遇措置を受けている」と繰り返し述べた。また、「世界は新しい貿易システムに移行しつつあり、WTOの原則である最恵国待遇はもはやなくなった。米国は14カ国と自由貿易協定を締結しているが、追加関税が適用されていないのは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)だけだ」とし、対米交渉が功を奏していることを主張した。一方で、「次に目指すのは自動車産業と鉄鋼・アルミニウムへの関税について、世界中の他のどの国よりも最良の条件を引き出すことだ」と述べた。ここで言う最良の条件とは「関税の賦課対象が協定(USMCA)の原産地規則を満たさない製品となることだ」とし、今後40日間で米国と協議していくとした。会見の質疑応答では、シェインバウム大統領は今回の相互関税に対して、3月6日に行ったようなトランプ米国大統領との直接の電話会談はせず(2025年3月7日記事参照)、メキシコ経済相と米国商務長官の対話を続けるとした。
経済団体は国際情勢の不確実性に対し、国内のビジネス環境強化を提案
メキシコ経営者連合会(COPARMEX)は4月3日に「米国の新たな関税は世界に不確実を生み出し、貿易と経済成長の脅威になる」と題した声明を発表した。米国の相互関税や世界共通関税に言及し、「逆風が吹く世界情勢の中、国内市場を強化することで企業にとって好ましいビジネス環境の推進を保証することが不可欠だ」とメキシコ政府に提言した。メキシコ国内の課題となっている治安、エネルギー、法的安定性の保証を優先し、企業が発展する環境を作り出すことが、グローバルな課題に立ち向かう唯一の手段だと強調した。
シェインバウム大統領は会見の中で、国内強化計画とする「プラン・メキシコ」(2025年1月17日記事参照)の多くの活動を加速させるとし、4月3日正午に国立人類学博物館で詳細を発表すると述べた。
(阿部眞弘)
(メキシコ)
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