米USTR、「メーク・イン・インディア」政策を問題視、2025年外国貿易障壁報告書(インド編)

(米国、インド)

調査部アジア大洋州課

2025年04月07日

米国通商代表部(USTR)は3月31日に公表した2025年版「外国貿易障壁報告書(NTE)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2025年4月2日記事参照)で、インドとの貿易について、16ページにわたって米国が問題視する政策や慣行を詳述した。詳細は次のとおり。

関税障壁について、インドは農産品や加工食品、自動車(二輪車を含む)など広範囲な品目に高関税を課しているほか、最大20%に及ぶ基本関税(Basic Custom Duty、BCD)を課していると懸念を示した。その上で、インド政府の頻繁に関税率を変更する姿勢が米国の事業者に悪影響を与えているとした。2019年7月には米国がWTOの紛争解決制度を通じて、インドの報復関税に対する訴訟を提起し、2023年7月にインドが米国の特定の農産品や化学品に課していた報復関税を取り消すかたちで、この訴訟は解決している。

非関税障壁については、化学品や医療機器、バッテリー、電子機器など広範な品目にわたって、インド標準規格局(BIS)が定めた認証取得を義務付けている一方、当該規格は国際基準にのっとっていないほか、認証取得の基準や認証義務開始までのタイムラインが不明瞭な点などを指摘した。

政府調達方針については、包括的な政策に欠け、その結果として調達にかかる慣行や手続きが管轄省庁によって異なっていることを指摘した。また、インド政府が掲げる製造業振興策「メーク・イン・インディア」に言及し、それにひもづくかたちでインドで生産された品目の調達を行う傾向にあるとした。

なお、同報告書が発表された2日後の4月2日、ドナルド・トランプ大統領は「相互関税による輸入制限により、米国の巨額かつ恒常的な財貿易赤字に寄与する貿易慣行を是正する」と題する大統領令により、インドに26%の関税を課すと発表した(2025年4月7日記事参照)。これに対し、インド商工省は4月3日に声明文を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、「今回の大統領発令による影響を注視するとともに、両国間の貿易協定について、米国と今後協議を進めていく」と述べた。

(深津佑野)

(米国、インド)

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