地方再編の大枠決定、現行の63省・市から34省・市へ

(ベトナム)

ハノイ発

2025年04月22日

ベトナム共産党の指導機関の中央委員会は4月12日、政治・行政の効率性向上や経済発展の促進を目的に、現在の6つの中央直轄市と57省からなる63省・市を、34省・市(6つの中央直轄市と28省)に再編する計画案を承認した。

北部の首都ハノイ市を含めて11省・市は合併対象外だが、南部の商都ホーチミン市を含む52省・市を23省・市にまとめて再編する(添付資料表参照)。

また、これまで3級制をとっていたベトナム行政管理区画(注1)から第二級行政区(区・県)を廃止し、第三級行政区(坊・社)を6~7割程度削減する。今後、全国の行政管理区画は省級(省・中央直轄市)と社級(坊・社・特区)という2級制になる。

これまで、国会常務委員会の決議により、省の基準は(1)山岳地帯や高原地帯では面積8,000平方キロ以上、かつ人口90万人以上、(2)それ以外は面積5,000平方キロ以上、かつ人口140万人以上、中央直轄市の基準は(3)面積1,500平方キロ以上、人口100万人以上、かつ第二級行政区の数が9つ以上と定められていた。今回、基準を満たしていなかった省・市が合併対象になった。

中央直轄市のうち、ハノイ市と中部フエ市(注2)は合併対象外となったが、ホーチミン市は、原油などの天然資源や港湾、観光地をもつバリア・ブンタウ省と、工業団地が集積するビンズオン省を合併する。これにより、地域総生産(GRDP)が国内総生産(GDP)の約24%を占める国内最大の経済拠点となる見込みだ。北部ハイフォン市はハイズオン省、中部ダナン市はクアンナム省、南部カントー市はソクチャン省という隣接する省を合併する。

省・市再編は、行政運営の効率性の向上に寄与するほか、関連機関の管理費用の削減にもつながる。その結果、インフラ整備や社会福祉に投じる財源が増え、国民の生活水準向上や経済発展に貢献することなどが期待される。一方、地域の文化的な特性が失われることや、新しい行政制度への移行で行政手続きが一時的に停滞するなど、国民生活と企業活動の双方に影響が大きいという懸念もある。

再編計画案は5月5日から行われる次期国会(第15期第9回国会)で、憲法の改正決議などを経て、正式に承認される見通し。第二級行政区の廃止と第三級行政区の新区画は7月1日に、第一級行政区の新区画は9月1日に運用開始となる。

(注1)第一級行政区は省(Tinh)と中央直轄市(Thanh pho truc thuoc Trung uong)、第二級行政区は県(Huyen)や中央直轄市の区(Quan、郡と訳されることもある)など、第三級行政区は地方省の社(Xa)や中央直轄市の坊(Phuong)などから構成される。

(注2)フエ市は、2025年1月1日付で、旧トゥアティエン・フエ省から中央直轄市に格上げされた。

(グエン・ラン)

(ベトナム)

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