豪州市場参入を目指し、シドニーでラグジュアリー日本酒試飲会
(オーストラリア)
シドニー発
2025年04月22日
オーストラリア酒類小売・輸入企業のセラーメイトが3月26日と28日にシドニーで、高価格帯のラグジュアリー日本酒の普及を目的として試飲会を開催した。試飲会では、日本酒販売やメディア事業を行うClear(本社:東京都渋谷区)のオリジナル日本酒ブランド「SAKE HUNDRED(サケハンドレッド)」が取り上げられた。Clearのオーストラリア市場参入は初となる。日本国内では同ブランドは約9,900円から28万円と高価格帯で販売され、今までになかったラグジュアリー日本酒としてブランドを確立している。両社は「Japan Street」(注)を活用して取引を開始し、セラーメイトは今後「SAKE HUNDRED」の現地販売を担う予定だ。
イベント会場入り口で「SAKE HUNDRED」のディスプレー(ジェトロ撮影)
イベントは2日に分けて行われた。初日のBtoC向けイベントでは、ミシュラン「1つ星」のレストラン「シドニー・コモン」で、刺し身やステーキなどのコースメニューとともに、3種類の「SAKE HUNDRED」が提供され、来場客は料理とのマリアージュを楽しんだ。来場客51人のうち約3割が現地在住の日本人、約5割がアジア系オーストラリア人だった。また、著名な日本人シェフによるマグロ解体ショーや握りずしも提供され、大いに盛り上がった。2日目のBtoB 向けイベントでは、22人の現地飲食店経営者やインフルエンサーなどを招き、「SAKE HUNDRED」製造の背景や、料理とのマッチング方法を説明した。
解体ショー用に準備されたマグロと「SAKE HUNDRED」のディスプレー(ジェトロ撮影)
オーストラリアでは近年、日本酒市場が拡大しており、「オーストラリアン・サケフェスティバル2024」(2024年2月1日記事参照)では、シドニー会場への来場者数は8,000人に上った。日本酒の認知度が高まる一方、日本酒の足元の現地需要は伸び悩んでいるとの懸念もある。このような状況下、Clearは新たにラグジュアリー日本酒市場の開拓を目指し、2025年3月にオーストラリア進出を決めた。同社代表の生駒龍史氏は、食事とともにワインを楽しむ文化があることや、多国籍国家で多文化を受け入れる土壌が根付いていることがオーストラリアを選んだ主な理由だと語る。現地高級レストランでは料理のカテゴリーを問わず、種類豊富なワインリストが提供されている。しかし、日本酒の提供は日本食レストランに限られているのが現状だ。Clearは今後、日本食レストラン以外での販促を優先するほか、多様な料理にマッチする日本酒の開発や、原材料の研究開発、パッケージ改良などにも力を入れていく。
Clear代表取締役社長の生駒氏によるオープニングあいさつ(ジェトロ撮影)
(注)Japan Streetは、ジェトロが招待した海外バイヤー(海外に販路を持つ国内のバイヤーを含む)専用のBtoBのオンラインカタログサイト。
(小笠原まりさ)
(オーストラリア)
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