ブカレスト地下鉄6号線掘削開始、式典にはチョラク首相も出席
(ルーマニア)
ブカレスト発
2025年04月15日
ルーマニアの首都ブカレストの地下鉄運営会社メトロレクスは4月9日、アンリ・コアンダ国際空港とブカレスト中心部に近い「5月1日(1 Mai)」駅を連結する地下鉄6号線(M6)の建設(2024年8月14日記事参照)に用いられるトンネル掘削機械(TBM)の発進式典を建設途中の「トウキョウ(Tokyo)」駅で実施した。
式典には、メトロレクスの最高責任者マリアナ・ミクラウシュ氏、イオン=マルチェル・チョラク首相、ソリン=ミハイ・グリンデアヌ運輸・インフラ相、片江学巳・駐ルーマニア日本大使、オズギュル・アルタン駐ルーマニア・トルコ大使、国際協力機構(JICA)中東・欧州部次長の横田健太郎氏、土木工事を請け負うトルコのアラルコ・ホールディング取締役会長のイゼット・ガリフ氏らが出席し、祝辞の言葉を述べた。また、同プロジェクトのコンサルティングサービスを手掛けるパデコ代表取締役社長/CEOの重永智之氏も出席した。
チョラク首相は、欧州のパートナーとの交渉や度重なる議論を乗り越えて今日に至ったと振り返り、「これからわれわれが考えるべきことは、ここに関わっている一人ひとりが、何百万人ものルーマニア国民の生活をより良く変えるプロジェクトの一員であるという事実である」と述べ、プロジェクトの重要性を強調した。
グリンデアヌ氏は、2021年に運輸・インフラ相に就任した際に、プロジェクトが中止されていたことを明かし、「私が最初に行った会談の1つは日本大使とのものであり、大使はこのプロジェクトの再開とJICAを通じた資金提供の継続に強い意欲を示してくださった」と述べ、1990年代後半にこの地下鉄建設について日本とルーマニア両政府の最初の協定が締結されてから今日までの忍耐に対し、感謝の意を表明した。同氏は、M6の建設が本格化し、2027年から2028年にかけて「1 Mai」駅とアンリ・コアンダ国際空港を結ぶ路線が完成予定であると述べた。
片江大使は、同事業の成功には高度な技術と経験、また多くの関係者の努力が必要であるとし、現場で尽力する人々に感謝を表明した。完成後には「トウキョウ」駅が両国の友好の象徴となることを期待し、安全かつ確実な遂行とルーマニアの持続的発展への貢献を願った。
横田氏は、8年ぶりの同国訪問となる今回、地下鉄建設の前進を確認し、関係者の尽力に感謝を表明するとともに、JICAは建設における「安全」と「命の保護」を最優先としており、日本の安全文化を共有する使命があると強調した。
TBMの起動ボタンを押下する様子(ジェトロ撮影)
なお、TBMの長さは97メートル、重量は約600トン、掘削ヘッドの直径は6.6メートルに及ぶ。平均前進速度は時速1.5メートルで、1日あたり約60メートルを掘削する。掘削と同時に、TBMはトンネルのセグメント(注)設置を担い、1日に13~14単位を設置する。作業は24時間3交代制で行われる。
2基のTBM(ジェトロ撮影)
(注)トンネルの壁面で使われるコンクリート製の部材。
(アリーナ・フタディエフ、本吉美友)
(ルーマニア)
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