ブラジルと米国の政府関係者が関税措置について協議、焦点はブラジルでのエタノール関税引き下げなど
(ブラジル、米国)
調査部米州課
2025年04月15日
ブラジルと米国の政府関係者は4月10日、米国のドナルド・トランプ大統領が4月2日に世界共通関税と相互関税を課す大統領令を発表して以降、初の会合を行った。4月12日付現地紙バロール・エコノミコが報じた。
4月12日付現地紙バロール・エコノミコによれば、会合の主要議題は、米国の貿易赤字額が大きい国に対してより高い追加関税を課す相互関税と、トランプ大統領が2月10日に発表した鉄鋼・アルミニウム製品の米国輸入に対して25%の追加関税を課す大統領布告についてだった。ブラジルは相互関税の対象になっていないものの、世界一律の10%の共通関税は課税されている(2025年4月3日記事参照)。米国政府は、ブラジル側で賦課される米国産エタノールの輸入関税を、現状の18%から引き下げるよう要求している。米国通商代表部(USTR)が3月に発表した外国貿易障壁報告書(NTE)には、世界の主要エタノール生産国である米国とブラジルの間では、2011年から2017年にかけてエタノールに係る関税は双方で無税だったにもかかわらず、2017年9月以降ブラジル側が関税割当を課し、枠外税率を20%に設定したことで両国間のエタノール貿易量が減少した旨が記載されている。2022年3月23日以降、ブラジルは一時的に関税を無税に戻したものの、2023年2月1日以降は16%の関税を課し、2024年以降は関税を18%まで引き上げている。なお、米国側でのブラジル産エタノールの輸入関税は2.5%で、外国貿易障壁報告書(NTE)
では、「米国とブラジルのエタノール貿易に相互待遇(reciprocal treatment)を講じるため、米国は交渉を続ける」と記載されている。
鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税について、ブラジル産アルミニウム製品へはこれまで米国側で10%の追加関税が賦課されていたが、これが3月12日に25%に引き上げられた(2025年2月12日記事参照)。鉄鋼製品については、2018年に、米国がブラジルからの鉄鋼輸入に対して約350万トンの数量割り当てを与え、割り当て内で追加関税を除外していたが、3月12日以降の国別例外措置の撤廃を受けて、ブラジル政府は再度、同量の数量割り当てを適用するよう求めている(4月12日付現地紙「バロール・エコノミコ」)。ブラジル側での米国産エタノールの輸入関税引き下げなどが、交渉材料になるとみられている。
フェルナンド・アダジ財務相は4月11日、「ブラジル政府は米国との交渉の準備ができている」と述べ、あくまでも交渉によって米国の関税措置に対応していく姿勢を明らかにした(4月11日付現地紙「アジェンシア・ブラジル」)。
(辻本希世)
(ブラジル、米国)
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