コスタリカビジネスセミナー開催、高付加価値品を製造できる高度な人材に強み
(コスタリカ)
企画部企画課
2025年04月28日
ジェトロと在日コスタリカ大使館は4月25日、ジェトロ大阪本部において、コスタリカビジネスセミナー「コスタリカにおける新たなビジネス機会について(Mapping business opportunities in Costa Rica)」を共催した。本セミナーには、コスタリカからアルノルド・アンドレ外務・宗務相、マヌエル・トバル貿易相が登壇者として参加した。
アルノルド・アンドレ外務・宗務相(ジェトロ撮影)
マヌエル・トバル貿易相(ジェトロ撮影)
冒頭のトバル貿易相によるスピーチでは、コスタリカが自由貿易を推進している点が強調された。その例として、コスタリカにおける物品貿易の89%が、同国が自由貿易協定(FTA)を結ぶ国々と行われている点や、デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加盟を前進させることで他国との経済連携強化を目指している点を挙げた。また、農業に依存した経済から脱却するため、産業の多角化に向け半導体や先端医療機器などを戦略的分野とし、高付加価値製品の製造とサービスの輸出拠点として発展してきた背景が語られた。
続いて、ジェトロで中南米地域を担当している河田美緒理事が、日本の視点から見たコスタリカについて語った。特に質の高い人材については、言語の壁がビジネスの障害になりがちな中南米の中で、コスタリカはTOEICの平均スコアが中南米で最も高く、英語が堪能な人材が多い点を紹介した。また、近年のコスタリカにおける日系企業の動きについて、医療機器メーカーのテルモや、タイヤメーカーのブリヂストンの投資事例を紹介。コスタリカの政治・経済の安定性、優秀な人材、地理的な条件などが同国への日本企業の投資を後押しする要因になっていると説明した。
さらに、コスタリカ大使館アジア・太平洋特使のマリアネラ・ピエドラ氏が登壇し、同国のビジネス環境を解説した。ピエドラ氏は、コスタリカの戦略的な産業の多角化による成果として、「現在では医療機器をはじめとする4,426品を168カ国に輸出する国へ変貌を遂げ、コーヒーやバナナなどの伝統的な農産品の輸出が占める割合は9%まで減少した」と述べた。また、サービス分野が輸出額全体の45%を占めている点についても触れた。同国の強みであるフリートレードゾーンは国全体がその対象地域となっており、輸入関税の免除、輸出向け製品の製造に用いる財・サービスの国内調達にかかる付加価値税の免除、最長10年以上の市町村税の免除、迅速な行政手続きなどの広範なインセンティブについて説明した。
ジェトロが本セミナーの参加企業を対象に実施したアンケートの結果では、「米州での生産や輸出拠点として地理的にも人材の質的にも優位性があると感じた」「伝統的な農業国のイメージではなく、新たなビジネスの可能性を感じた」「優遇措置などのインセンティブ、人材、文化などの点で、さらに詳しく知りたい」など、コスタリカでのビジネスの可能性に期待する声が多く寄せられた。
(小西健友)
(コスタリカ)
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