インドの2025年度経済成長率は6.7%、ADB経済見通し

(インド、南西アジア、東南アジア)

調査部アジア大洋州課

2025年04月18日

アジア開発銀行(ADB)は4月9日、「アジア経済見通し(ADO)2025年4月版PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表し、2024年度(2024年4月~2025年3月)のインドのGDP成長率を6.4%(推定値)とした。2025年度は6.7%、2026年度は6.8%と予測している。インフレ率については、2024年度は4.7%だったが、2025年度は4.3%、2026年度は4.0%と、徐々に軟化すると見通す。

GDP成長率が2023年度の9.2%から2024年度に6.4%に鈍化したと推定されることについては、2023年度の製造業成長率は12.3%だったが、2024年度は4.3%にとどまるなど、工業分野の成長の伸び悩みを指摘した。他方で、農村部での消費意欲は堅調で、経済成長に大きく貢献した。

今後について、需要サイドでは、農村部の所得向上とインフレ緩和により、消費マインドが増大することで、経済全体も堅調に推移すると見込んでいる。特に中間層や富裕層からの需要拡大が今後2年度にわたって続くとみる。供給サイドでも、エネルギーコスト低減により、製造業成長率も改善する見込みだ。

成長を押し下げるリスクについては、米国の追加関税措置(2025年4月7日記事参照)がインドや諸外国の輸出に影響して、貿易や投資の流れを抑制し、ひいては、インド国内の金融市場の不透明性を拡大させる可能性があるとした。他方で、インドと米国は2国間貿易協定(BTA)の第1段階の交渉を2025年秋までに行うとしており(2025年2月17日記事参照)、交渉を通じて米国の追加関税措置による影響が軽減される可能性もあるとしている。

南アジア地域(注1)全体では、2024年のGDP成長率は5.8%で、2025年は6.0%、2026年は6.2%を見通す。対して、東南アジア地域(注2)の2024年のGDP成長率は4.8%で、2025年と2026年は4.7%と、横ばいで推移するとした。

(注1)南アジア地域:アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ。

(注2)東南アジア地域:ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、東ティモール、ベトナム。

(深津佑野)

(インド、南西アジア、東南アジア)

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