北上消費でにぎわう広東省珠海市、スシローが初出店

(中国)

広州発

2025年04月23日

回転寿司(ずし)チェーン「スシロー」を運営する、FOOD & LIFE COMPANIESの孫会社の広州寿司郎餐飲は4月12日、中国・広東省珠海市香洲区の商業施設の南湾華発商都内に、スシロー南湾華発商都店をオープンした。

写真 スシロー珠海店前で順番を待つ人々(ジェトロ撮影)

スシロー珠海店前で順番を待つ人々(ジェトロ撮影)

開業日翌日の4月13日(日曜日)の開店時間には、開店を待つ多くの客が店頭に並び、開店直後に予約番号を取得したところ7時間待ちだった。事前予約も可能だが、4月14日時点で予約可能なのは5月中旬ごろだ。客層は10代から40代で、若い世代が多く、家族連れも見受けられた。

店頭で順番待ちしていた珠海市在住の女性客は、珠海市から車で約1時間半かかる広州市のスシローに行ったことがあり、中国のソーシャルメディアプラットフォーム「小紅書(RED)」で珠海市に出店することを知ったという。「昨日も来たが、その時は予約番号が400番以上で入店することができなかったので、今日は朝10時に来た」と話した。また、家族4人で訪れていた女性は、「スシローはコストパフォーマンスが良い」と話し、「北京の友人に珠海店がオープンすることを教えてもらい初めてスシローに来た。今日食べてみて食材が新鮮だと思ったし、友人からは北京や香港のスシローは何年たっても品質が落ちないと聞いた」と話した。

珠海市はマカオの北側に位置し、マカオと隣接する地域だ。中国政府は「港車北上」「澳車北上」の政策(注1)で、香港・マカオの居住者の中国大陸への「北上」を後押ししており、香港から深セン市への北上消費と同様に(2024年6月17日記事参照)、マカオから珠海市に向かう北上消費も存在する。珠海出入国国境検査本部によると、2025年1月から3月までの3カ月間で、延べ750万人(前年同期比23%増)と延べ156万台の車両(31%増)がマカオ・珠海市の出入境審査を通過した。このうち、香港・マカオ籍の居住者は延べ410万人で、出入境審査全体の54.6%を占める。珠海市の大型ショッピングモールの駐車場には、マカオナンバーの車が止まり、珠海市の地元住民は「週末、珠海のサムズクラブ(注2)は、マカオから来た家族連れでにぎわっている」と話す。

写真 ショッピングモールの駐車場。マカオと珠海ナンバーの車両が止まる(ジェトロ撮影)

ショッピングモールの駐車場。マカオと珠海ナンバーの車両が止まる(ジェトロ撮影)

(注1)「港車北上」は香港居住者の自家用車が、「澳車北上」はマカオ居住者の自家用車が、香港・珠海・マカオ大橋(港珠澳大橋)を経由して香港と広東省間を移動できる政策。

(注2)サムズクラブは、米国ウォルマート系列の会員制大型スーパーチェーン。

(西村京子)

(中国)

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