プラボウォ大統領、カタールと戦略対話を開始
(インドネシア、カタール)
ジャカルタ発
2025年04月18日
インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は、4月12~13日に中東歴訪の一環でカタールを公式訪問し、首都ドーハでタミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長と会談した(4月14日付大統領府プレスリリース)。
両首脳は、両国外務省による戦略対話開始に関する覚書(MOU)の締結に立ち会い、外相級での戦略対話を毎年開催する枠組みの設置で合意した。この戦略対話は、政治・安全保障から経済・エネルギーまで幅広い分野での協力を深化させる新たな枠組みとなる(4月14日付大統領府プレスリリース)。今後、同枠組みを通じた実務者レベルでの継続的な協議と協力の進展が期待されている。
また、プラボウォ大統領は、カタール政府が、インドネシア政府が2025年2月に設立した新たな政府系ファンド「ダナンタラ」に20億ドルを出資し、ダナンタラと共同投資を行う意向があると発表した(「アンタラ」4月15日)。ダナンタラのパンドゥ・パトリア・シャリル最高投資責任者(CIO)は、カタールとの共同投資について、食料安全保障やエネルギー、天然資源の下流化、デジタルインフラといった分野に充てる見通しだとした(「リプタン6」4月14日)。プラボウォ大統領は「会談は生産的で、協力強化に対するカタール側の強い熱意が示された」と述べ、カタールの出資意向表明をインドネシアの経済外交の成果と位置付けた。
インドネシア国内主要メディアでは、今回の協力に対する期待の声も上がっている。マルアラル・シライト住宅・住宅地域相は「インドネシア政府のビジョンが国際社会に前向きに受け止められ始めた証しだ」と述べ、ダナンタラへの国際的信頼が高まりつつあると評価した(「アンタラ」4月15日)。さらに、パラマディナ大学の経済学者ウィジャヤント・サミリン氏も「20億ドルの投資はインドネシア経済に雇用創出など大きな波及効果をもたらす」と期待を示した(「コンタン」4月15日)。
(八木沼洋文)
(インドネシア、カタール)
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