日本の茶・抹茶を展開するカザフスタン企業、健康志向が追い風
(カザフスタン、日本)
タシケント発
2025年04月28日
カザフスタンの1人当たりGDPは上昇傾向にあり、2024年は1万4,187ドルとなった(カザフスタン統計庁)。世界銀行の最新の分類では、マレーシアやタイと同じ上位中所得国に位置する。消費者の購買力の高まりとともに、カザフスタンでは健康への意識が高まる。その時流をとらえ、「マッチャ・フォレスト」というブランド名でカザフスタン企業の「ケイト」が日本の茶や抹茶を輸入・販売している。同社のヤン・コノワロフ・マネージャーに、カザフスタンでのビジネスについて話を聞いた(2025年4月17日)。
ヤン・コノワロフ・マネージャー(同社提供)
(問)会社について。
(答)マッチャ・フォレストのブランドは、抹茶好きのロシア人女性がモスクワで立ち上げた会社による展開。その女性が2022年にアルマトイに当社を設立、2023年にドバイにもビジネスを広げた。日本との取引は当社が直接、日本と行っている。ロシアの企業が取引に入ることはない。
(問)ビジネスについて。
(答)日本から輸入した高品質なお茶・抹茶の販売をカザフスタンで行っている。消費者向けに加え、卸事業も行っている。消費者向けにはオンライン販売を行っており、物理的な店舗は持たない。卸としては、カフェやレストラン向けにお茶や抹茶を販売している。取り扱う製品はすべて日本製だ。
(問)販売促進の工夫は。
(答)情報提供だ。他国のお茶と比べると、日本のお茶や抹茶は値段が高い。そのために、効能や魅力をよく知ってもらう必要がある。消費者向けには、インスタグラムなどで丁寧に情報を発信している。抹茶を中心にお茶・抹茶の効能やいれ方、デザートへの応用方法、そして日本の文化などを伝えている。カフェやレストラン向けには、従業員向けセミナーを開催し、効能やいれ方などを直接教えている。
現地のフードフェスティバルでの出店の様子。「INSPIRED BY JAPAN」の表記で日本製であることを打ち出している(同社提供)
(問)商流、物流は。
(答)パートナーである日本の商社が、日本のメーカーから仕入れて輸出手続きを行っている。日本からアルマトイまで空輸で運んでいる。コストがかかっても新鮮な製品を仕入れたいため、船便は使わない。日本から4日ほどでアルマトイの倉庫に到着する。
(問)消費者の客層は。
(答)抹茶の購入者は20~30歳の若い女性が多い。カザフスタンではここ3~4年で健康への関心が高まっており、中でもトレンドに敏感な若い女性が抹茶の効能に関心を持っていると感じる。カザフスタンでの健康志向の高まりは、当社のマーケティングの観点から追い風だ。
(問)今後の展望は。
(答)まずは首都アスタナをはじめ、カザフスタンのより広い地域で卸ビジネスを広げていきたい。消費者向けには物理的な店舗の開店も考えたい。
(一瀬友太)
(カザフスタン、日本)
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