税関当局が原産地証明書に関する規則を一部改正、運用上の変更はなし

(インド)

ニューデリー発

2025年04月24日

インド財務省間接税関税中央委員会(CBIC)が原産地証明書の審査規則であるCAROTAR2020(注)の内容の一部修正を3月18日に通達外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたことから混乱が生じていた問題で、CBICは4月21日に追加の通達外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出した。

3月18日付通達では「原産地証明書」の表記について、CAROTAR2020で「Certificate of Origin」となっていたところ、CAROTAR2025改正版で「Proof of Origin」という表現に変更されていた。

「Certificate of Origin」の表記は、日本・インド包括的経済連携協定(日印CEPA)にも盛り込まれており、同通達に関して従来の原産地証明書への影響が懸念されていた。ジェトロにも、「日印CEPAの活用にあたり、従来の原産地証明書(Certificate of Origin)は使用できないということか」などの相談が寄せられていた。

この状況を受けて4月21日に出された通達では、締結済みの貿易協定で特恵関税率を活用するための原産地証明書には影響がないことが明記された。本通達のポイントは、次のとおり。

  • 今回の原産地証明書の表記変更は、原産地の証明方法が第三者証明方式から自己証明方式、自己申告制度へと世界的に移行しつつある状況を反映したもので、手続きの簡略化と貿易促進を意図したもの。
  • 「Proof of Origin」は、原産地証明書の指定発給機関が発給する「Certificate of Origin」と、輸出者や生産者自身が発行する「自己証明」の双方を含有する。
  • 原産地証明書の形式は、各貿易協定の規定で定められている。
  • 原産地証明書の真正の確認において、標本となる署名の、相手国からの受領・アップデートを体系的に管理する手順を導入する。

インド国内では3月18日の通達を根拠として、原産地を証明するための追加書類(Proof)が求められるようになるのではないか、という憶測も広まっていた。ジェトロがCBICにヒアリングを行った(4月3日)ところ、「3月18日の通達は、今後締結される貿易協定で、自己証明方式の原産地証明が採用されるケースを配慮したもので、現在締結済みの日印CEPAを含む貿易協定の原産地証明書には影響しない。また、関税優遇措置適用の厳格化や輸入抑制の意図はない。」との回答があった。

(注)CAROTAR2020は、インドで2020年9月に施行されたCustoms(Administration of Rules of Origin under Trade Agreements)Rulesの通称(2020年9月15日記事参照)。自由貿易協定(FTA)などで特恵税率を利用する際に必要となる原産地証明書の審査に適用される制度。

(丸山春花)

(インド)

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