2024年の貿易、輸出総額が初の1,000億ドル超え
(チリ)
サンティアゴ発
2025年03月04日
チリ中央銀行が2月24日に発表した資料によると、2024年の貿易(通関ベース)は、輸出(FOB)が前年比5.9%増の1,001億6,300万ドル、輸入(CIF)が1.4%減の841億5,500万ドルで、貿易収支は160億800万ドルの黒字だった。輸出増は銅と果物の好調によるもので、輸出総額が1,000億ドルを超えたのは、中銀のデータが確認できる1960年以降で初めてのこと。
輸出を品目別にみると、鉱産物は前年比9.5%増の574億2,000万ドルで、うち銅が17.3%増と好調だった(添付資料表1参照)。一方で、鉄は8.8%減、炭酸リチウムは48.1%減となった。
農林水産物は前年比24.9%増の90億2,900万ドルで、主要な輸出果物であるサクランボとブドウがそれぞれ51.4%増、39.2%増だった。一方で、工業品は3.3%減の337億1,300万ドルとなり、構成比率の高い食品のサーモンや化学品の輸出減が工業品全体に影響を与えた。
輸入を品目別にみると、消費財は前年比3.4%増の227億3,200万ドルで、携帯電話、衣類、肉などの輸入が増加した(添付資料表2参照)。一方で、自動車は4.7%減となった。中間財は2.7%減の448億1,600万ドルで、石油やディーゼルなどのエネルギー製品の輸入が減少した。資本財も3.9%減で、国内経済活動の停滞の影響を受け、建設などに使用されるトラック、牽引車やモーター、発電機、変圧器などの輸入が減少した。
輸出入を主要国別にみると、チリの第1位の貿易相手国は中国で、輸出(構成比:38.2%)、輸入(25.0%)のどちらも前年比で増加した(添付資料表3参照)。中国に次ぐ輸出先第2位は米国(構成比:15.5%)で、次いで日本(8.5%)の順だった。ほかではスペインとインド向け輸出の増加が顕著で、どちらも銅関連の製品の輸出の伸びが影響している。輸入は中国に次いで、米国(19.0%)、ブラジル(8.9%)、アルゼンチン(8.4%)の順で、米国とブラジルからはエネルギー製品の輸入が減少した一方で、アルゼンチンからは増加した。
国際経済関係次官官房(SUBREI)によると、サービスの輸出は前年比18%増の28億6,900万ドルとなり、史上最高額を記録した。2024年は198種のサービスが輸出されており、主にウェブサイトおよび電子メールのホスティングサービス、航空機の保守・修理、インターネットを介した情報技術サポートなどがサービス輸出の上位を占めた。
また、2024年は8,567社のチリ企業が対外輸出を行い、前年比で4%の増加となった。輸出先を地域別に分類(重複あり)すると、5,788社が中南米向けに輸出を行なっており、次いで欧州(2,622社)、北米(2,560社)、アジア(2,099社)、中東(352社)、アフリカ(311社)の順だった。
なお、中銀はこれまで発表していた貿易統計の資料「Indicadores de Comercio Exterior (ICE)」の発行を今回限りで終了し、それに代わる貿易統計モニター「Monitor de Comercio Exterior de Bienes(MCE)」の提供を開始している。
(岡戸美澪)
(チリ)
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