全ての学校にAIツールを導入するAIリープ・プログラムを発表
(エストニア)
ワルシャワ発
2025年03月04日
エストニア政府は2月25日、全国規模の人工知能(AI)教育プログラム「AIリープ2025(エストニア語名:TI-Hüpe 2025)」を導入すると発表した(プレスリリース)。同国の教育システムにAIを統合し、生徒や教師に先進的なAIアプリケーションへの無料アクセスと、それを活用するためのスキルを提供する。新学年が始まる2025年9月1日からの実施を予定している。エストニアがデジタル社会の次の段階へ進む重要な一歩となることが期待されている。
同プログラムは、約30年前に同国が実施した「タイガー・リープ(Tiger Leap)」プログラム(注)の精神を引き継ぐもので、官民協力による新たな取り組みとして、AIの活用能力を教育現場に定着させることを目指す。エストニアのアラル・カリス大統領は、タイガー・リープがデジタル国家としてのエストニアの発展をもたらしたように、今回のAIリープは教育システムとデジタル社会の新たな章を開くと述べ、「AIは世界を永久に変えた。全ての分野と同様に、教育システムもこれらの変化に適応する必要がある」と強調した。
プログラムの初年度には、全国の高校生(エストニアの教育制度で10年生と11年生)約2万人と同学年の教師3,000人が対象となる。翌年度には職業学校と新たに10年生になる生徒、同教師にも適用され、4万人がプログラムに加わる予定だ。
AIリープの共同設立者で、タイガー・リープの設計にも関わったリナール・ビーク氏は「未来の労働市場では、AIを最も多く使える人ではなく、最も賢く使える人が優位に立つ。学校は新しい技術を無視したり禁止したりするのではなく、支援的な枠組みを提供することによって、それらの導入を先導する役割を担うべきだ」と指摘した。
(注)エストニアで1997年に導入された教育改革プロジェクト。全国の学校にコンピュータとインターネットを導入し、教師のIT教育を推進した。同国の電子政府発展の基盤を築いた。
(吉戸翼)
(エストニア)
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