1月の米個人消費支出、消費は予想外の減少、物価上昇率は低下
(米国)
ニューヨーク発
2025年03月03日
米国商務省は2月28日、2025年1月の個人消費支出(PCE)を公表した。連邦準備制度理事会(FRB)が重視する物価関連指標は前年同月比でわずかに低下し、消費支出も予想外に減少した。
所得関連では、個人所得が名目ベースで前月比0.9%増(前月0.4%増)と市場予測(0.4%増)を上回った。増加分は、配当収入に伴う利息・配当(前月比1.1%増、寄与度0.2ポイント)や、社会保障費の生活費インフレ調整に伴う所得移転(前月比1.8%増、寄与度0.3ポイント)などによる一時的な影響とみられ、雇用者報酬(前月比0.4%増、寄与度0.3ポイント)は前月とほぼ同水準だった(添付資料表1参照)。
名目個人消費支出は前月比0.2%減となり、前月(0.8%増)から減少に転じた(添付資料表2参照)。市場予想は0.2%増で、予想外のマイナスとなった。財部門(寄与度マイナス0.4ポイント)では、ガソリン(0.06ポイント)以外はほとんどのカテゴリーで減少、サービス部門(0.2ポイント)でも、外食サービス(0.06ポイント)を除き、ほとんどのカテゴリーで伸びが低下した。実質ベースでの個人消費支出も、前月比0.5%減と前月(0.5%増)から大きくマイナスに転じた。今回の減少に関しては、寒波の影響や年末商戦の反動減なども指摘されている(ブルームバーグ2月28日)。一方、トランプ政権による物価上昇懸念を反映した消費者マインドの低下など、今後の消費の下押しリスクも徐々に増加しつつある。今回の結果が個人消費の減速の兆しを示すものなのか、単に一時的な影響を示すものなのかは、2月のデータを待つ必要がありそうだ。
物価関連については、PCEデフレーターは前年同月比2.5%増(前月2.6%増)、前月比では0.3%増(前月0.3%増)だった(添付資料表3参照)。変動が大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は前年同月比2.6%増(前月2.9%増)と前月から低下し、前月比は0.3%増(前月0.2%増)だった。FRBが参照するコア指数の3カ月比、6カ月比は、それぞれ2.4%(前月2.4%)、2.6%(前月2.4%)だった。PCEデフレーター、コア指数の数値は、いずれも市場予想と一致した。
(加藤翔一)
(米国)
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