中国発展ハイレベルフォーラム、李首相が内需拡大などによる経済成長に自信示す
(中国)
北京発
2025年03月31日
「中国発展ハイレベルフォーラム2025年次総会」が3月23~24日、北京で開催された。李強首相が開幕式に出席し、基調講演を行った。
講演で李首相は直近の消費市場の活況に言及し、映画や、氷雪(注)、文化・観光など新たな成長エンジンによる中国経済の発展に自信を示した一方、2025年の経済成長率の目標を実現するために、マクロ政策の逆周期的な調節(カウンターシクリカル、周期的な経済の変動を緩和する調節)を強化し、必要に応じて追加政策を打ち出すと述べた。また、世界経済の不安定、不確実性が高まる中、中国は経済のグローバル化を堅持し、対外開放を拡大する方針を堅持するとし、外国企業による中国への投資を呼びかけた。
財政部の藍佛安部長は同フォーラムで財政政策について、内需拡大を最優先課題とし、3,000億元(約6兆3,000億円、1元=約21円)の超長期特別国債を消費財買い替えへの支援に充てるほか、高齢者年金の引き上げや医療補助金の支給などを通じて、消費力と消費意欲を向上させると述べた。中央財経委員会弁公室の韓文秀副主任は国民経済や総需要に占める消費の割合は低く、先進国と比較して20ポイントの差があり、消費拡大の余地は大きいとコメントした。また、質の高い発展を通じて外部環境の不確実性に対応し、世界経済の発展にバランサーの役割を果たすと自信を示した。
同フォーラムには、新開発銀行(BRICS銀行)のジルマ・ルセフ総裁、アジア開発銀行(ADB)の神田眞人総裁や、国内外の企業家(注)、政府関係者、専門家および国際機関の代表ら約720人が出席した。
王文涛商務部長は3月24日、同フォーラム出席のために訪中している米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)、米クアルコムのクリスティアーノ・アモン社長兼CEOとそれぞれ会談を行った。クックCEOは中国におけるサプライチェーンや研究開発などへの投資を強化し、中国と米国における経済貿易関係の安定的で健全な発展に貢献すると発言した。アモンCEOは中国のこれからの発展に自信をもっており、引き続き中国への投資を拡大し、米中両国の積極的な対話を支援すると述べた。
(注1)ウインタースポーツや、関連設備、観光などが含まれる。
(注2)中国メディア「毎日経済新聞」の報道によると、ドイツ・シーメンスのローランド・ブッシュ代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)、米アップルのティム・クックCEO、韓国・サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長、ドイツ・BMWグループのオリバー・ツィプセ取締役会長、メルセデス・ベンツ・グループAGのオラ・ケレニウス取締役会長、米クアルコムのクリスティアーノ・アモン社長兼CEOをはじめ、著名企業のトップが出席していた。日本からは日立製作所の東原敏昭会長、みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長、東京海上ホールディングスの永野毅会長らが参加した(「毎日経済新聞」、3月23日)。
(張敏)
(中国)
ビジネス短信 eb815d93a25d50fd