インドネシア、ASEANの中心性に関する議論喚起

(インドネシア、ASEAN)

ジャカルタ発

2025年03月12日

インドネシア商業省は2月28日、ディア・ロロ・エスティ商業副大臣がマレーシアで開催された第31回ASEAN経済大臣会合(AEM)リトリート(非公式会合)に出席し、マレーシアが議長を務める2025年のASEANの優先的な経済成果(PEDs:Priority Economic Deliverables)の支持を表明した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと発表した。

ロロ商業副大臣は、マレーシアが発表したASEAN物品貿易協定(ATIGA)の改定交渉の妥結など、9つの優先的な経済成果(2025年3月10日記事参照)について、「インドネシアはこれらの取り組みについて支持を表明する」とした上で、「経済的な成果を生むために、AEMの権限の下で行われるさまざまな交渉や協力は、ASEAN域内の貿易を拡大し、サプライチェーンの強靭(きょうじん)性を強化する」と期待を述べた。また「インドネシアの経済成長のために諸外国との貿易関係は欠かせない」とも強調した。

世界的な緊張関係にASEAN中心性確保に向けたAEMへの提言も

ロロ商業副大臣は同日、シンガポールのガン・キムヨン副首相兼貿易産業相とも会談した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。会談でロロ商業副大臣は、ATIGAの改定交渉の2025年中の妥結に向けたシンガポールのリーダーシップを支持するとした。ガン副首相兼貿易産業相は、インドネシアが2024年9月に加入申請した環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加入支持を表明するとともに、「他のASEAN加盟国にも加入を促し、ASEAN加盟国とCPTPP締約国との議論の場を提案する」と述べた。

ガン副首相兼貿易産業相は加えて、地政学的な緊張感の高まりと、米国のトランプ政権誕生に伴う世界的な不確実性に鑑み、「ASEANは米中の緊張関係を好機と捉え、活用する機会を見いだすこともできる」と述べた。また、インドネシアがAEMリトリートでAEMへの提言を見据えて提起した、世界的に緊迫した状況下でのASEAN中心性の確保に関するノンペーパー(議論のための文書)を念頭に、「現在の世界的な緊張を緩和するための重要性を強調するインドネシアの構想を強く支持する」と強調した。

(大滝泰史)

(インドネシア、ASEAN)

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